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戻れない道


近距離になり、男を見上げて顔を近付ける。
その時、男を鋭い目付きで見ていた。

その場に緊迫した雰囲気が流れ、男は息を飲んだ。


ヤられる。そう覚悟したであろう男。
しかし、その覚悟とは裏腹に、紅の雫はニッコリとした明るい笑いを見せた。


「そんなに身構えなくていいですよ。依頼者は殺しませんから」


最初のような明るい雰囲気と楽しそうな声色。
緊張が一気に解けて、男はその場に座り込んでしまった。


「依頼が終わるまで依頼者を殺しちゃダメなんですよ」


逆に考えれば、依頼が終われば殺してもいいということになる。
しかし、そんなことは安堵しきっている男には考えることすらできない。


「そ、そうか。・・・じゃあ私は・・・本当にもう行く!」


叫びに近い声を発し、急いで去っていった。




「取って食いはしないのに」


時間がかなり経っていたみたいで、公園には紅の雫しかいない。



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