SS集
パセリ風邪で寝込むの巻(2009.4.26〜)
ジ:昨日の雨が嘘のようにいい天気だな。
レ:そうですね、五月晴れ、というやつでしょうか。まだ四月ですけど。
ジ:でもこの晴天にこの風の強さ、まさしく五月の陽気だよなぁ。
……あれ、そういえばパセリは?
レ:今日はまだ来てないですね。
ジ:そか。珍しいな。
レ:体調でも崩したんでしょうか。
ジ:もしそうなら見舞いでも持って行ってやるか。
レ:そうですね。でもその前に、本当にそうなのか確認してからですね。
ジ:電話してみたところ風邪で寝てるらしい。
レ:電話番号なんていつ知ったんですか。
ジ:この図書館にはあらゆる世界のあらゆる物語が収蔵されてるんだ。やろうと思えばどんなデータだって出てくる。
レ:よくやろうと思いましたね。
ジ:我ながらそう思う。半日かかったが所有者権限ぶんまわして見つけてきた。
レ:ふと思ったんですがそれってプライバ――
ジ:言うな。わかってるから。
……で、元気はなかったがとりあえず大丈夫らしい。何冊か本を頼まれた。
レ:それでは後はどうやって訪問するかですね。
ジ:そうだな。さすがに友達として行くのは不審がられるよな。
レ:でもほかにお見舞いに行きそうな人って居るでしょうか。ここのことを説明するのは面倒ですし……
ジ:うーん……
レ:…それで結局、親がいない時を見計らって侵入することにしたんですね。
ジ:侵入とは失礼な。訪問するだけだよ。
レ:そうですか…
ジ:で、今両親は共に働きにでていて家にはパセリ一人だ。普通に呼び鈴鳴らして開けてもらってもいいんだが、それだとパセリを動かすことになってしまう。
レ:それは避けたいですね。お見舞いに来たのに病気を悪化させては元も子もないですから。
ジ:『カット&ペースト』で玄関部分を切り取って入るか…
レ:でもそれ、結構大がかりですよね。誰かに気づかれたらやばいですよ。
ジ:むぅ。
レ:…あ、ジェンクさん、『カット』ができるなら『コピー』は使えます?
ジ:ああ、できるよ。
レ:上書きペーストは?
ジ:問題ない。
レ:なら、いい考えがあります。
ジ:ドアぶったぎって上書きペーストで直す、だろ?それは俺も考えたんだが、破壊には音が伴うからなぁ。
レ:僕の剣でならそんなに音しませんよ。
ジ:でもおまえの剣デカいから目立つだろ?
レ:大丈夫ですって。とりあえず玄関をコピーしてください。
ジ:…わかった、このくらいでいいか?
レ:ええ。
ジ:じゃあ…『ポイント』…『ドラッグ』…『コピー』っと。いいぞ。
レ:わかりました。では…
ジ:やっぱ剣だよな。…ん?展開しないのか?
レ:しますよ、こうやって…えい。(ひゅ(ガギン!)おっ)これなら目立たないでしょう?
ジ:おお、なるほど。鍵の閂に向けて展開したのか。
レ:正解です。それでは、入りましょうか。あ、入ったらちゃんとペーストしておいてくださいね。
ジ:さて、と、ここかな?
(コンコン)おぅい、見舞いに来たぞ〜
レ:開けますよ。
パ:(すぅ…すぅ…)
ジ:あら、寝てるのか。
レ:それじゃあ仕方ないですね。お見舞いの品だけ置いて、退散しましょうか。
ジ:そうだな。…それにしても、何というかこの部屋は…
レ:ベッドの頭側にPCラック、壁際のテレビとベッドの間にはいくつものゲーム機、そして漫画と攻略本だらけの本棚、と。女の子らしいのは勉強机に山と盛られたぬいぐるみ(プライズ物)ぐらいですか。
ジ:もうちょっと何とかならんのかなぁ。…っていうかあれじゃ勉強できんだろ。
パ:いいのよ、テーブル出してやるから…
ジ:おわっ!?
レ:おはようございます、パセリちゃん。起こしちゃいましたか?
パ:まぁ………って!何であんたらがここにいるの!
ジ:え、えぇ〜
レ:今更そんなことを言われても。
パ:……そーいえばお見舞いに来るとか何とか言ってたわね。せっかくだから一つ聞きたいんだけど、いい?
ジ:なんだ?
パ:なんで私の番号とか家の場所とか知ってるわけ?
ジ:そりゃおまえ、図書館のオーナー権限でパセリの人生(ものがたり)を……
パ:死んどけバカぁーっ!(ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!)
ジ:うおおおおっ!?
パ:あぅ…興奮したらふらぁ〜…
レ:パセリちゃん!?
レ:全く…ジェンクさん、冗談も程々にしてくださいよ。
ジ:いや、すまんすまん。
パ:え、冗談って…
ジ:図書館にはあらゆる物語が収蔵されるって話は前にしたっけ?
パ:うん。
ジ:実はその中には、俺たち人間にとって到底物語に思えない物もある。名簿とかそういう類だ。
パ:あ、そういえばそんなのもあったような…
ジ:で、その中から住民登録情報と携帯電話メーカーの顧客情報を調べたんだ。だから、実はおまえの人生なんぞ見てない。
パ:え、てことは…
レ:まぁ、そういうことです。ジェンクさんの悪ふざけですね。まぁでも、パセリちゃんも少しやりすぎですよ。どうするんですかこの銃痕。
パ:え、えーと、それは…
ジ:というかいつのまに俺のサンドフォール持ち出してやがったんだ。
パ:え?だってあのとき、装備解除しないでそのまま帰ってきたじゃん。
ジ:あれ…そうだっけ…?
レ:そうでしたね。ジェンクさんが持ってきたグレネードボウガンはあの後僕が返してきましたけど。
パ:持って帰ったはいいけど置き場に困って困って。
レ:仕方ないので格納具を作ったんですよ。
ジ:…なるほど。じゃあパセリ、それ返してくるから寄越せ。
パ:やだ。
ジ:…あのな、おまえが持っててもしょうがないだろうが。
パ:でもやだ。
ジ:なぜそんなに駄々をこねる。
パ:やなもんはやだ。
レ:まぁまぁ、ジェンクさん、今日はとりあえず帰りましょう。説得はまた後日で。パセリちゃんは病人なんですから。
ジ:むぅ。
パ:パセリちゃんも、安静にして早く治してしまってください。
パ:はーい。
レ:それじゃ、帰りましょう。
ジ:…じゃな。
パ:こんちわー!パセリちゃん復活でーす!
ジ:お、自分がパセリだとついに認めたな。
パ:うんまぁ…よくよく考えたらパセリのなにが悪いのかと思って。
ジ:今更かよ。
レ:ともあれ、治ってよかったですね。
パ:うん!…それでジェンク、サンドフォールの件なんだけど。
ジ:おう。
パ:やっぱり自分にも護身用に武器は必要だと思うの。
ジ:………ちょっとまて。
パ:?
ジ:護身用にライトボウガンなんてゴツいもん持ってる奴がどこにいるかぁー!
パ:ここにいるよ。っていうか、私の世界ではいらないかもしれないけど、ほかの世界に行ったときに怖いじゃん。
レ:それは確かにそうかもしれませんね。
ジ:…まぁ、一理あるが。それだったら別のもんでもいいだろ。MHP2Gでサンドフォール使いたいんだよ。
パ:や、これが使いやすいの。
レ:ジェンクさん、もう諦めてもう一度作ったらどうでしょう。
ジ:レイトまで敵に回るのかよ。
レ:敵ってわけではないですが、せっかく作った格納具が無駄になるのもいやですし。
ジ:…むぅ、しゃあない。そのかわり、無闇に撃つなよ?
パ:わかってるよー。
ジ:やれやれ、…またガレオス狩りにせいをださにゃならんのか。
レ:手伝いましょうか?
ジ:いや、いい。普通にゲームでやるから。
レ:そうですか。
ジ:それより、今日は休館日じゃないぞ?
レ:この図書館に休館日なんてありましたっけ?
パ:私が知る限りはないけど。
ジ:んなことはいいから、とっとと開けてこい。
レ:はいはい。それじゃパセリちゃん、手伝ってくださいね。
パ:はーい。
ジ:…はぁ、ホントは他世界からの持込はよくないんだがなぁ。ま、レイトの剣もあるし、いいとするか。
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