そらばけ
寄り道脇き道帰り道
「あら、あきちゃんに莉奈ちゃん。今帰るとこ?」
「あ。こんにちは。おばさん。」
「こんちはー!」
「あら。あきらちゃん。今帰り?最近は昔より物騒だから気をつけてね。」
「はいはい。」
「?」
ちなみに先に声をかけてきたのは、近くのマンションに住むおばさん(推定40歳)だ。で、後からあたしにだけ声をかけてきたのがこの辺に出没するおばさん(推定享年40)だ。
「残念!享年39と10ヶ月よ!」
(やっかましい!!)
当然ながら彼女もはるたちのようにあたしの心が読めるらしい。大変不本意ながら。
なんとか心の中で一喝し、不思議そうな顔でこっちを眺めている莉奈に謝り目的地へと歩き出した。
「――――あーきー…らっ!とうっ!!」
「うぐはっ!!」
無防備だった背中に鈍い衝撃というか重みを不意に食らい前に大きくつんのめる。が、なんとか一歩踏み出し転倒は免れた。
痛い。正直言ってかなり。じんわりと涙がでそうになる。泣くもんか。
じんじんと痛む背中を押さえながらゆっくりと(それもたぶん鬼のような形相で)後ろを振り向く。っていうか…こんなことするやつは一人しかいない…っ!
「のやろっ…修!てめぇ!!」
怒鳴りつけ、にへらとした笑顔にハイキックで応じた。すんでのところで躱され空をきったけれど、すぐに逆の脚を繰り出す。
その脇で誰かが「ちょ…パンツ!パンツ見えるってば!」とかなんとか小さな声で心配してくれる。
大丈夫!
「スパッツ履いてる!!」
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