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PSO2小話
「オレと相棒(マイキャラ阿蒙視点)」
(マイキャラ・阿蒙視点)


新しく赴いた星は、何処か故郷にも似ていた。
キャンプシップから見下ろす惑星ナベリウスは緑豊かな森林と、青い空だった。

「何ぼーっとしてるんだ?、あ!もしかして緊張してるのか?。だよなー、この終了試験を合格しなくちゃ正式なアークスには成れないんだし、下手したら生きて帰れない…とか脅かす奴もいるし、不安だよなー、でも!一人より二人なら何とかなるって!」
背後から声をかけられ振り向けは、華奢で小柄な身体に大き目のプロテクターを着込んだ同業者がいた。
正確に言えば、これから同業者になる可能性がある人物。
返事を返す前に更に喋りだした相手に、自分は黙って聞き役になる。
「同じ船に乗ったのも何かの縁だ、よろしくな!相棒」
アークス終了試験でコンビを組んだ相手は、人懐っこいニューマンの少年、名前をアフィンと名乗った。


同行する相手の存在など、どうでもよかった。
正式なアークスとして登用されても、チームに属する気もなかった。
一人で戦えば、死ぬのは一人で済む。

そう思い、愛用のソードを握った。


そして降り立った自然豊かな大地は、程なくして不測の事態で戦場と化した。

それは本当に「想定外」だったのか。
今は知る由もない。

生き残った事がアークスとしての素質を満たしたと判断されたのか、二人は正式にアークスになった。

それで終わりと思っていたコンビは、どういう訳か未だにコンビを続けている。

クライアントオーダー。
個人同士で依頼を請け負う、そんな制度もあったと知った。
声を掛けてきた時は正直驚いた。何を依頼することがあるだろうかと。

些細な、初心者のような依頼から、パートナーカードを渡され相棒と呼んで差し支えない繋がりを得てしまった相手。

自分でも不本意ではないと思い始めている、そう思わせる不思議な魅力を持つ相手たっだ。



「よっ!相棒!、一緒に火山に行かないか?」
「…行こう」
「よかったー!、メディカルセンターの子に頼まれちゃってさ、素材集めに結構な数が要るんだよ」
「…ドリンクか、アレは面倒だったな」
うんざりした顔のアフィンを見下ろす。頭一つ以上身長差に自然と見下ろす視線の先には、ニューマン独特の尖った耳が目を引く。
故に、つい触れたくなる。
「うひっ!」
アフィンが驚きの声を上げ、耳に触れた感触を手で払い除けた。
「あ…相棒ぅ…、ビックリするから止めてくれよぉー」
「…ビックリさせなければ、触れてもいいか?」
「駄目だって言っても触る気だろう?、相棒の手つきは何と言うか…アレなんだよ…」
アレとはつまり、アッチの想像なのだろう。勿論その想像で間違いはない。
頬を染めれば耳まで色付く、自然の反応なのだろうがそれが妙に嬉しい。
「…そうか、断ってもいいか?、火山」
「わーーーーっ!、ゴメン!一緒に行ってくれよ!、帰って来たら触っていいから!な!」
「…了解」
自分の言葉一つでここまで反応を返してくれるアフィンを、快く思っている自分がいる。
初めて出会った時は存在すら意識しなかった相手が、今は隣に居る事が安心する。
先ほどまでの微笑ましい反応は微塵もなく、アフィンが意気揚々とクエストカウンターへと走ってゆく。

そんな後姿を見て、久しく忘れていた笑顔が戻る。

「…何時か名前で呼んでほしい」

相棒と呼ばれる度に、自分の名前に「あ」と「う」が含まれていて良かったと思うようになった。


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