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崎谷家の日常
6
「杉崎は大丈夫だ。プライドの高い奴だからな。ここまで蔑ろにされたら、逆に無かったことにするさ。」
ゆったりとした口調で崎谷が俺に話しかける。
あれからずいぶん時間がたって、機嫌は良いほうに転じたようだ。
「心配なのは、杉崎がお前を気に入り始めたとこだな。」
正直、もう何を話されても、今の俺の脳は処理できない。
あの手錠は途中一度はずしてもらえたが、今はまた俺の背中側、両手首に収まっている。
崎谷のインターバルとか、意味のわからない理由で。

「あ・・っ!もう・・いいかげんに・・」
「ちゃんと聞いてるか咲也?生島だけじゃない、杉崎にも近づくなよ。」
言いながら、覆いかぶさるようにキスを仕掛けてくる。
呼吸の邪魔をするな。
只でさえ、吐き出せない快感が体中を駆け巡っているのに。
俺の根元にはリングが嵌められ、崎谷の語り口調と同じリズムで、ゆったりと片手で刺激されている。
「頼むから・・・それはずしてく・・れ」
限界をアピールするように、苦しげに頼んでも、聞いてはくれない。
「お前が疲れたというから、温存させてやってるんだ。」
それを本気で言ってるんなら、お前は狂ってる!
「な・・なら、早く終わらせろよ!」
「まぁ待て。今はお前の中で休憩中だ。いくら俺だってそう連続は無理だ。」

言葉通り奴は中のものを動かすことなく、俺の収縮だけで楽しんでいる。
吐き出せなくても、時々くる絶頂に体を震わせていると、敏感な先端に爪を立てる鬼っぷり。

こいつはいつもこうやって俺を追い詰める。
泣いて頼むのを上機嫌で待っている姿には恐怖を覚えるほどだ。
そしてウソ泣きは通用しないから、本当に面倒くさい。

けど、もうマジに限界。これ以上は死ぬ。
「崎谷・・頼む・・。」
止まらない涙を感じながら、明日の家出決行を決意する。
俺の荷物なんて少ないものだ。
このままこいつには付き合ってられない。

その時ふと、崎谷の空気が変わった。
なんだ?

ゆっくりと耳元に近づいてきて、崎谷の表情が視界から消え、なぜだか少し不安になる。
そして小さな声で、
「咲也・・。なんで崎谷を名乗らない?」
今更聞くか?そんなこと。こんな状況で。

それでも何とか必死に答えてやると、少し意外そうに、そして嬉しそうに笑った。
なんだ。気にしてたのか。
だけど、理由に気づいてなかったのはお前だけだぞ。たぶん。

その可愛げに免じて、家出はもう少し待ってやるよ。


○ネコRanK●

R‐18

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