[携帯モード] [URL送信]

レンカイ&カイマス(仮マスター)
大切なのは*(R18)《カイト×仮マスター》


「ただいま〜…」
と、五階建てのマンションの真ん中、三階の一番端っこに借りた部屋のドアを開いたのは、深夜の十一時。
学生鞄を肩に下げて警察の補導に引っ掛からないよう急いで帰ってきた、のだけど…。

ひゅっ、スコン!

ドアを閉めた瞬間、俺の右耳の真横を掠ったのは小さな和風のナイフ…忍者とかが使うような小刀だった。
それは、同居人にピッタリと言う理由で俺の姉貴がソイツに与えたものだった。さすがに俺に飛んでくるとは思わなかったけど…。
「カイト…お前〜…なんつーもの投げ付けるんだよ!危ないじゃんか!?」
「…貴様、今が何時であるのかわかっているのか?」
投げ付けたポーズはそのまま静かに聞いてきたのはKAITO。但しデフォルトではなく、『時雨』というモジュール名の黒髪黒目の和風スタイルだ。
そして聞かれた質問に対し俺は静かに今は十一時だと答えた。
「遅くなったのは、悪かったよ…。でもどうしても外せない用事だったんだよっ」
「…後、五十分程度か…」
玄関脇に置かれた飾り時計を見て呟いたカイト。つかつかと歩み寄ってきて刺さった小刀を抜き取った。
「んぅ!?」
ビックリして鞄を落っことす。ドアに体を押し付けられてそのままキスをされた。
「ふ…っ、かい…んむぅ…っ!!」
「名で呼べ…。他のKAITO等と混同されては敵わん…」
ヒンヤリとした冷たい金属が頬に触れた。小刀の刀身部分が押し当てられる。鋭利な切っ先が、切られてもいないのに背筋を凍らす。
「んぐ…ちょ…やめろっ…て、時雨!?」
何度も何度もキスをしてくるもんだから、押し退けようとその胸に手を添えて押してみる。
ダンッ!!と勢いよく振り下ろされた小刀がドアに突き刺さる。
「十六夜…おれは、一年待った。マスターに言われ、おれは貴様の為にここに居る…。…そろそろ、いい加減におれを受け入れろ」
俺の足と足の間に時雨の片足が、太股が割り込んできた。肩を掴まれまたキスの洗礼を受ける。
「は、ぁ…っ…、待って…まっ…て…」
「待たん」
熱が上がって力の抜け出した俺の体を片手で器用に支えて、もう一方の手は学生服のボタンを外していく。今はまだ夏仕様のカッターシャツ一枚で…、最後のボタンが外されれば簡単に素肌を曝すはめになった。
「待って…せめて風呂…」
「日付が変わる。その前に貴様を抱く」
「直球…っ!!やぁ…」
ずり落ちる体は股間の辺りで時雨の太股に支えられる。ほんの少しだけ背をしならせれば時雨が首に、鎖骨に、胸にと唇を滑られていく。
「んっだめ、だってば!!お前、次期マスターに…何しようと…っ」
「貴様をマスターにするつもりはない。おれのマスターは水樹で構わん」
ベルトが無駄に大きな音を立てて外されていく。すぐにその場所は寛げられて、小さく震える俺自身が顔を覗かす。
「時雨!?」
「足に力を入れてちゃんと立っていろ」
跪き、取り出した俺を優しく撫でる。震える腰に立つ力が奪われていき、俺はそこにあった時雨の頭に縋りついた。
「あっ!はぁ、ん!?時雨、しぐ、れぇ!?やめ、やぁぁっ」
「……貴様…台詞と反応が相反しているぞ…」
ペロッと舐められたかと思うと、何の前置きもなく口に咥え込まれた。そのまま遠慮なく舌で扱かれて、吸い上げられ絶頂を促す。
「はふ…はふ…っだめ…ほんと、に…ああんっ!!ふぁあ…出る…はな、し…てぇ…」
「早いな」
「っいやぁぁぁあああ!!」
込み上げてきた熱の塊。大変申し訳ないけど、時雨の口の中に全部出してしまった…。だけど俺悪くない。放せって言ったのに、放してくれなかったんだから…。
「…これが人間の精液か…」
「ってぇ、飲むんじゃねーよ!?」
「おれは口で飲んだからな。貴様にはこっちでおれのを飲んで貰おうか」
「こらっ!?」
ずるっと下まで落とされたズボンとパンツ。熱の解放で脱力気味の俺の身体の向きを変える。

あーしろこーしろ言われる前に…俺は自然とドアに手を付いて自らその体勢になった。

「…後、三十分…か」
「っ時間なんか気にするなよ!?」
こっち見てろバカ!!と言う言葉はなんとか飲み込んだ。さすがにまだ理性は残っているらしい。
「今日中に貴様を抱くと言っただろう。悪いが、早急にさせて貰う」
ぱくっ、と音が聞こえて、何の音?と考えていると
「ひぁあ!?冷たい冷たい!?」
尻にトロリとした液体が掛かる。同時に空気にヒヤッとしたミントの香りが混じる。
「璃空マスターの所のレンに貰ったものだが…良くはなかったか?」
まだ中身の残ってるボトルを無造作に落とす。視界に写ったそれはローションで、ミントの香り付きと書かれていた。
「あの…Sレンめ…っ!!ちょっ、待ってまだ心の準備がっ!?」
「時間がない。抱かれながら準備しろ」
それじゃあ準備の意味がないだろ!!
それより、前と後ろ同時にヤらないで!?
「んあっんあっやだ、やめだめぇっマジでやめてぇああっひああん!!」
息つぐ暇もありません。ローションで濡れた時雨の左手は俺の性器を加減なく擦るし、同じく濡れた尻の蕾に沈められた右手の指は既に二本挿入れられている。
「だめ、だめ!もっと、ゆっくり…いやっ!!そこダメだってぇぇ…っしぐれぇぇえっ!!」
「そこ、とはどっちの事だ?」
左手の人差し指がぺニス先端の鈴口を抉る。右手の中指が穴の奥のしこりを押し潰す。当の俺にもどっちなのかわからない。
「わかんね、わかんねぇって…でもやぁぁぁっ!?イクゥゥゥっ!?」
二度目の射精。地に崩れそうな身体は、俺より一回り以上デカイ背丈の男に抱え込まれる。
「…後、……いや、よそうか…。今は十六夜だけ…望めばいいな…」
「はぁっ、はっ…んん…あ、くる…っ」
ぐっと押し当てられる時雨の塊。正直まだ心は受け入れ未体勢ですが、コイツには関係なんてなかった。
指で散々弄られて解されて、ローションで滑りのいいそこに何の前置きもなく抵抗もなくそれは入ってくる。
「あ、あ、ん!!大きい…大きいぃ…!ああああっ!!やだ、壊れる…っ時雨、やっぱ無理…抜いてっ!?」
「やめん。まだ少ししか入ってないぞ。もっと耐えろ」
腰骨を力の限り掴まれて、それすらも痛みから快感へと変換され…、逃げるに逃げれない波が深い所からやって来る。
「うぁ…んん…しぐれぇ…っおく…奥、ぅ…奥に…き…た…?」
「もう少しだ」
「まだ…奥あるのぉ…?もう、だめ…」
身体が揺れる。もっとこの熱を感じたい。
本能に従って俺は自分で動き出した。
「きたぞ…」
最後だけぐぐっと押し進められ、その一際深い所に一番大きな部位が組み込まれる。きゅうっと尻に力をいれるとまたその形がはっきり存在を主張した。
「ああっん!!あぅ、深い!!お前…どんだけ……あぅ…っ」
思わず口に出そうになって喉の奥に引っ込めた。さすがに恥ずかしい…。
「どんだけ…なんだ?おれが何か?」
繋がったまま突き上げられる。爪先立ちになっていた足指が、その振動で瞬間的に宙に浮く。
「ひっ!!刺さる刺さる!?」
「刺さっている」
「うぁん!!突き抜け…ちゃうっ!?」
「突き抜いて欲しいのか?」
「いやぁああっダメェェ!!時雨、時雨だめぇっ来ないでぇっやぁぁあああっ!?」
ずるっと抜けた時雨が、深々と舞い戻ってきた。俺の中で反り返った時雨のモノ。肉の壁を痛いくらいに擦ってイイ所まで抉る。
「さっき言いかけた言葉言ってみろ。どんだけ…なんだ?」
「あぅっあぅ!!んーっ!?あは…う、ど、どんだけ…。どんだけ、でかくて…長いもん…をぉ!あーっ!!」
自分の中に居る時雨を、懸命に感じとる。腸壁の奥、俺ですらそんなに深い所まで届くと思ってなかったのに…。
予想以上の深さで脳ミソが恐ろしい快感に満たされる。
「も、う…だめ…っ!脳ミソ…パンクする…、時雨…イカせて…」

初めて誰かに抱かれた。
怖いと思う気持ちより、好きな奴に抱かれたと言う喜びの方が勝る。
自分が、特殊な性癖だと思っているけど…、そんな事すらもう気にならない。

「ああ…丁度良い時間だな…」
その大きな背と腕に包まれて、中でピストン作業を繰り返していた時雨が、また抜き差しを始める。
だんだんと速度をあげて、最奥で突き上げて。
「はぁ!!はっ、はげしっ!?だめ、腰、砕ける…っ!もうだめ、もうだめ…時雨、……しぐれぇぇっ!!イかせてぇ!!」
「…イけ」
短い言葉と、一度完全に抜け出した時雨の性器がまた一番深い所まで帰ってきて…。その瞬間を逃さずに下腹部に力をいれれば中で時雨が弾け人工精液を飛び散らした。
「んあ!!あああぁぁぁぁぁぁ!!時雨っ!イイーっ!!」
そして俺も、三度目の精をドアにぶっかけた。


「いつまで呆けている」
動けなくなった俺を風呂場に放り込んで、乱暴に俺を洗う。もうちょっと気遣え!!
中身も出さんと不味いな…。そんな事言いながら俺の尻穴に指を突っ込んで掻き乱す。だけどな。
お前が出したの深すぎて指程度じゃ届かねぇんだよ!?ぞわぞわ気持ち良いだけだからやめろって!!
結局また喘いで悶えて…、更に力なくなって…。呆れたように溜め息を漏らす時雨に抱き抱えられてリビングのソファの上。

足の低い机に並んでいたのは、冷めてしまった料理の数々。
「……悪かったよ、本当に…。遅くなった事…」
「……」
その時家の電話が鳴った。時雨がそれを取る。
『おめでとー!!』
「…マスター?」
怪訝そうな声で時雨が言う。コイツが言うマスター…俺の姉貴。一颯 水樹だ。
年齢的にまだマスター権限を持てない俺の代わりに、時雨のマスターとなってくれている。
基本的に明るい社交タイプだが、少し前に姉貴の家でちょっとした事件が発生して…、その時は死ぬんじゃないかと思った程だ。それも僅かながらに解決し始めているようで、また以前の明るさを取り戻してきていた。
でもなんでこんな真夜中に…?
『ちゃんと曲貰えたかしら?間に合わない間に合わないって焦ってたから大丈夫かな〜って思って』
「…曲?」
あ。やべ…。
『あ、れ?まだ渡されてないの?ここ最近ずっとうちで練り込んでたのよ?
ギリギリの完成だったけど、喜ぶかな?って、言って…』
「……」
鞄の中にいれたままだ…。わ、割れてなければ良いな…ディスク。
『あー…うん。これからも十六夜の面倒見てあげてねそれじゃおやすみなさい!!』
つーつーと、通話が切れた音が聞こえた。こっち戻ってくる前に鞄取りに行きたいけど身体が動かねぇ…。
「…十六夜…」
「ほら!?俺、音楽得意って程じゃないし!?でもお前ボーカロイドだろ!?皆に聞いたらやっぱりボーカロイドは歌うのが一番幸せだろうって言ってたし!?
この一年…歌なんて、歌わせた事なかったから…、姉貴に相談したんだ…」
受話器を戻して、ソファに座る俺の前に恭しく片膝を付いて俺の手を取る。その手の甲に口付けを落として謝罪の言葉が紡がれた。
「すまなかった…。遅くなった理由も聞かずに、事を進めてしまって…」
「いや、いいよ!?俺も嬉しかったし!!」
「……?男に犯されて嬉しいのか?」
そういう言い方やめなさい。なんか犯罪チックに聞こえるから…。
「…俺が…。なんでさ、中学生の俺が一人暮らしさせられてるか、言ってないよな…?」
俺の言葉に時雨はこくんと頷いた。深呼吸して、心を決めて説明した。

「俺…ね。男が好きなんだよ。それを親に言っちゃった訳。俺の事とんでもないような目で見てきてさ…、ここに追いやられたの。
金は仕送り、電話は無し。こっちから掛けても繋がらない…。一人暮らし自体は、小学後半からさせられてたかな。
普通は警察沙汰になるけど、まぁ親が既に権力者であるから放置された。

でも姉貴や、叔母さん達は俺を異常者扱いしなかったよ。
姉貴達の所に居るロイド達も優しかった」
ずっと黙って聞いてる時雨の頬に指を添える。初めて見た時からとても気に入っていた、闇のような漆黒の髪と瞳。とても綺麗。
「去年さ、姉貴の家でお前を見掛けたの。まだ起動前だったな。新作のモジュールだって聞かされたよ。
…俺の好みにすっげぇ当て嵌まった。あんまりにも俺がずっと見てたもんだからかな…?姉貴が俺の世話役としてお前を連れてきたんだよ」
「…だからおれのような奴が、家事全般できるように予めデータ入力されていたのか…」
「ははっ、ごめん。ボーカロイドが、家事しかできなくて辛かっただろ?」
ぎゅっと抱き付くと、答えるように背中に腕が回された。暖かな包容。心地よくて泣けてくる。
「十六夜を求めるように、インプットされていたのか、おれは?」
「し、知るかよ!!別に俺は姉貴にお前が好みだなんて言ってねぇし…。あいつらは、例え機械のお前らだとしても、心、感情まで弄ったりしねぇよ…絶対」
「…、なら。おれのこの気持ちは、おれ自身が培ったモノだと信じてよいな?
十六夜を愛していてもいいのだな?」
顔が近付けば、それはキスをしたいと言うわかりきった合図。だから俺からも身を寄せた。
「…やはり、貴様をマスターになぞせん。そうなれば、もうこんな真似できそうにないからな…」
「…マスターでなくても、ここに居てくれるか…?お前まで、俺を捨てないよな?」
当然だとか、よく聞くような在り来たりな言葉に安堵しながら長い間抱き締めあっていた。
やがて冷めた料理を時雨が暖め直して、二人で寄り添って食べた。

「そういやなんでこんなに豪勢な料理作ったんだ?俺もお前も誕生日まだ先だろ?」
俺が十月、時雨…KAITOは二月。今は九月。
「誕生日?そんなものより、貴様と初めて逢った今日の日の方が大切だ」
照れもなく、感情らしい感情もあまり読み取れない声色だけど…。どうも態度で示すのが好きなのか抱き付いてくる。

身動きがとれなくて折角のご飯…食べれません。


1/1ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!