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布団と枕
♯01 …君も?
(まだ、着きませんね…)
目的の駅まで、まだ時間がある。
膝の上に置いているスクールバックから、好きな小説を取り出して読む。
時刻は午後の11時を回っている。
(………)
しばらくして、駅に降りるとそのまま改札を抜ける。
丁度、午前12時になった時だ。
駅前の明かりが消えたのだ。
「あれ…?」
停電?
それにしては緩やかな消え方だと考える。
普通ならばいっきに消える筈だ。
不審に思いながら街に出る。
道には、棺、棺。
それに怪しく輝く月が街を照らしていた。
「何かの、イベント…?」
辺りを見渡す。
と―
「あ…」
少年だ。黒い髪の。
彼はヘッドフォンを耳に当てながら、こちらに気づき視線を向ける。
制服が真新しい事と同じ学校の物だと気づき、ひょっとしたら…と考え、彼に近づく。
「貴方も、転入生、ですか…?」
「…君も?」
「はい…」
寸の間、開けると―
「あの、聞いても…良い、ですか?」
何…?
彼の目は見るからに寝むそうだ。
「その、月光館学園の寮に行くには…」
恥ずかし紛れに尋ねる。
彼は少しきょとんとした表情をして―
「案内状って…」
「…すいません、落としました」
情けないと内心で思う。
「……一緒に行く?」
「え…!」
良いのですか?
彼は頷く。
「ありがとうございます…えっと―」
「有里、湊…」
急に名乗られて、こちらがきょとんとしてしまう。
「君は?」
「えっ…。
……辻@nameです」
じゃあ行こうか…。
先に行く彼の後を追う。
これが彼と私の初めての出会い…。
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