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短編
続々、正義の味方
呼んで、呼んで。

さぁ早く。

君の叫びが僕に力をくれる。



続々 正義の味方



ガタンっ

突き飛ばされ、机やイスを巻き込み倒れこんだ。

「ぐっ…!」

起き上がる前に腹に乗られ、襟首を絞められる。

「ヒャハ!つーかまーえた!」

「もう、会長ったらかくれんぼうますぎなんだもーん!すっげー時間かかちゃった」

上に載った生徒がニタァと笑い、別の一人が上に回りおれの腕を抑える。

「他の奴らはとっくに降参したのに、会長ほんと強情ー」

「そうそ、みーんな泣きながらごめんなさいしてたよ?」

「まっ!泣いたって逃がさねえけどお!!」

タチの悪い笑い声が放課後のシンとした教室に響き渡る。

1人、また1人とボロボロになっていく役員を間近に見ながら、俺はまた走り出す。

立ち止まったら、次は俺の番だからだ。

今みたいに。

ギリギリと締められる首が苦しくて、はくはくと口を開いた。

「会長、かーわい!苦しいの?」

「あー、早く会長が泣くとこ見てえ!!」

「待て待て、今動画準備すっから」

ゲラゲラと笑いながら顔の横にしゃがみこんで俺を見下ろしていた男がケータイをいじる。

カメラをこっちに向けると、オッケー、と明るい声を上げた。

「じゃ、いただきまーす」

手足を押さえつけられ、襟首を締めていた手が緩み、そのまま逆に思いっきり広げられた。

ブチブチ、とボタンが飛び、シャツがはだける。

「ゴホっ!くそっ!離せ!!」

「やだよー!おっ、会長やっぱイイ身体してんねえ」

さわさわと胸から腹を往復する手の感触にぞわりと鳥肌が立った。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!

「離せ!こんなことして、どうなるか…!!」

「うるせえ、暴れんな!」

「ガハ…っ!!つ…」

大声を出し、精一杯体を捩って暴れると、腹を殴られた。

痛みに目が眩み、涙が滲む。

もうダメだ…。

あいつらも、結局逃げられなかった。

俺も、もうダメだ…。



『助けてほしい?』



馬鹿だ。

こんな時でさえ、やっぱり君の声がする。

あの日、電話口から俺を救ってくれた優しい声が頭を過った。

バカだ、とわかっていても、俺はそれに縋ってしまう。

助けて…

イヤだ…

助けてくれ!




「………雪村!!!」



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