短編
夢か現
夢のようだと君は微笑った。
これが夢であったなら、僕はどれだけ幸せだったろう。
現実とは時に歪で、残酷だ。
君が光に包まれてるとき、僕は闇に飲まれまいと必死にもがいていた。
君が誰からも愛されてるとき、僕はほんの一握りの同情に縋っていた。
君がみんなから羨望されているとき、僕は死んだ方がマシだと言われていた。
現実とは決して誰しもに平等ではない。
運命とは決して誰しもに微笑むわけではない。
それを、君は知らない。
常に恵まれる君がいるなら、常に失う僕もいるということを。
何かを捨てる以外に、選択肢を持てない人間もいるということを。
君は、知らない。
知らないからこそ、君は誰より美しいのだ。
何も知らず、残酷なまでに美しい君は。
きっと永遠に僕の光であり続けるのだろう。
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