友達は目が紅い 13−2 「雪ちゃんか。よろしく。それから、ようこそ写真部へ。てなわけで、握手」 詩織が手を差し出し、雪はそれを握った。 「あ、雪ちゃん」 「はい」 「アタシはあなたの先輩で部長な訳だけど」 「はい」 「気軽に詩織とか、しおりんとか呼んでくれていいから」 「はい」 雪は笑顔でうなずく。 「じゃ、今日はこれを渡しとくわ」 詩織は入部届を手渡した。 「入部するんならそれを書いて、放課後ここに持って来て。多分毎日いると思うから。 もし、他の部に行くならそれはそれでいいから」 雪は入部届を大切にサックにしまった。 「じゃあ、今日は解散」 帰り道、雪は川の土手を歩いていく。 「雪、ご機嫌だな」 雪の肩に乗る小さなトカゲが言った。 「まあね。レイアには嬉しい時も、悲しい時も全部わかっちゃうね」 レイアと呼ばれたトカゲは、紅い瞳で雪の顔を見上げた。 「僕に、人の心を読む能力は無い。雪が、わかりやすいだけだ。 それで、何を浮かれているんだ?」 「うーん。はっきりとした理由は無いけど、見学に行った部活の部長さんがいい人だったのと、後は……春だからかな」 そよ風が雪のウェーブしている髪を撫でた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |