友達は目が紅い 12−5 日が沈み、春の夜空に三日月がうかぶ。 『ビックリ!! たまたま政悟とおんなじクラスになった。 でも、やっぱり私の事嫌ってるみたい。仕方ないよね』 雪は携帯電話の送信のボタンを押した。 「雪ちゃん、お風呂空いたよ」 ドアの向こうから、はるかの声が聞こえた。 「あ、はーい」 雪は携帯電話と懐中時計を机に置いて、部屋を出た。 「ふふふーん、ふーんふふふーん」 雪は鼻歌を歌いながら、シャワーで髪を濡らす。 「ふふ……」 ふと左手を見ると、そこには幼い頃に負った火傷の痕がある。 雪はしばらくそれを見つめた後、鼻歌混じりにシャンプーを泡立てた。 雪が部屋に戻ると、携帯電話に返信が来ていた。 『どうせ、自分の事どう思ってるか訊かずに嫌われたと思ってるんでしょ? メソメソ泣く前に、訊いてみな。』 何度か読み返し、返信を打った。 『わかった訊いてみる。 それと、まだ泣いてないよ』 雪は誤字が無いかたしかめてから、送信ボタンを押した。 「雪、メールか?」 いきなり男性の低い声が聞こえたが、雪は動じる事なく応える。 「うん、まあね」 声の主は時計の上にいる、紅い目をしたトカゲだった。 「ねえ、レイア」 レイアと呼ばれたトカゲは、雪を見上げる。 「どうした」 [*前へ][次へ#] [戻る] |