友達は目が紅い 6-5 夕暮れが街を包んでゆく時間、カリミスと空は駅前のベンチに座っている。 「結局、見つからなかったな」 空は心底残念そうに言った。 「そういや聞いてなかったな、どうしてそんなにその配達員に会いたいんだ?」 カリミスは自販機で買ったお茶のペットボトルを持ちながら尋ねた。 「実は、その人に会ったんってその日だけじゃないんや」 「ほう」 「突然だけどさ、お兄ちゃん私が何歳かわかる?」 カリミスは少し考えてから答える。 「18か?」 「残念。まだ誕生日が来てへんから17。普通だったら高校三年生」 空は小さく息を吐き出して、続きを言う。 「でもな、今学校行ってへんねん。中学の時、いろいろあって……ほら、私目も足も悪いから。人に迷惑かけんのいややったし」 「だから進学しなかった。か?」 空はうなずく。 「そう。でも、やっぱりあきらめきれへんだ。でも、迷ってた」 「それで?その配達員に『明日も来て』とでも言って、人生相談をして、励まされたと」 空はとても驚いて言った。 「ようわかったね。全部そのとうり」 カリミスは当然だとでも言いたげな表情を浮かべる。 「お前はわかりやすいからな。んで?見つかったのか?学校」 「まあね。私みたいなんでも入れるとこあった」「そうか。いいとこあってよかったな」 「うん」 空は杖で体を支えながら立ち上がる。 「一日付き合ってくれてありがとう。そろそろ帰るわ」 カリミスも立ち上がった。 「家まで背負っていこうか?いつかみたいに」 「いいわ。もう一人で歩けるから」 空はぽケットからペンを取り出すと、カリミスの手をとり何かを書き込んだ。 「家の住所。よかったら手紙書いて」 「わかった」 空はゆっくりと歩いていった。 [*前へ] [戻る] |