友達は目が紅い 22−4 「私に、そんな力が?」 「ああ」 雪はレイアごと時計を掴んだ。 「行こうよ。他の精霊さんを探しに」 「いいんだ、雪。僕は君を守れなかった。君が僕に何かしてくれる必要はない」 雪はレイアに口を近付ける。 「雪?」 そのままレイアに口付けをした。 「ほら、昔からキスで魔法が解けるでしょ?」 雪はおどけたように笑う。 「雪、そういう事は君が好きになった人間にする物だ……だが、ありがとう」 レイアは徐々に薄くなり、やがて見えなくなった。 「レイアさん?」 返事は無い。 二月。 潮を含んだ海の風は、まだまだ冷たい。海岸線を歩く雪はマフラーを絞め直した。 「寒い?」 優子が尋ねる。 「ちょっと」 優子は雪の肩に腕を回した。 「覚えてる? あなたの生まれた町よ」 「ちょっと」 「もうすぐアパートだからね」 「うん。アパートは覚えてる。一軒家で暮らしてたきがするのに、何故かアパートは覚えてる。不思議だね」 優子は微笑む。 「じゃあ、私は買い物して帰るから、先に帰っててくれる?」 優子は雪に鍵を渡した。 アパートの鍵を回すと、パチンッと乾いた音がした。 雪はドアノブを捻る。 「あれ?」 鍵が掛かっている。もう一度回すと、再び乾いた音がして鍵は開いた。 雪はドアを開けた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |