友達は目が紅い 20−7 政悟はその場に座った。 「お前は、いいのか?」 「構わないから言っている」 政悟が机に目をやると、いつの間にか懐中時計が置かれていた。 「どうして、俺なんだ。確かにお前のことも知っている。雪とも昔一緒に暮らしていた。でも、どうして俺なんだよ」 「僕は雪が、雪の笑顔が好きだからだよ。そして、雪は君が好きだからだ」 政悟は目を閉じて、二、三分黙った。 「俺は、駄目だ」 「何故? 僕には分からない。君がどうして拒むのか」 政悟は机から古ぼけた日記帳を取り出した。 「父さんの日記だ。火事の後、焼け跡から拾った。 これに書かれていたけど、雪のお父さんは警察官で俺の父さんの兄、つまり俺の伯父さん」 「雪は君の従姉妹というわけか」 政悟は日記をめくる。 「雪のご両親は十歳近く年の離れたカップルだったけど、凄く仲がよくて爺さんはすぐに結婚を許可したらしい。 俺の父さんはその日、雪のお母さんに一目惚れしたらしい。 結局、父さんは別の人と結婚して俺が生まれた」 政悟は日記を机の上に放り投げた。 「けど、次第に仲が悪くなり離婚した。俺が一歳のときだ。 そして父さんは幸せに暮らす雪の一家を妬たみ、雪のお母さんを奪おうと画策した」 [*前へ][次へ#] [戻る] |