友達は目が紅い 14−5 「……それで政悟にもう私達は赤の他人だって言われて」 「そうなの。政悟君にそんなことを……」 雪は黙ってうなずく。 「でも、それは仕方の無い事なんです」 舞海は不思議だという表情を浮かべる。 「貴女達は晴れた日はほとんどど毎日海に来て、子犬のように駆け回るほど、仲がよかったのに、いったい何があったというの」 今度は雪が驚いた顔をする。 「本当に、よく知っていますね」 「私はあの砂浜の水の精霊よ。蒼深浜は私自身と言ってもいいくらいだもの」 雪には、舞海が少し得意気に見えた。 初めて出会ってから一ヶ月後、雪達が政悟達の家に引越した。雪にとって、初めての一軒家での暮らしであり、初めて自室を貰った。 政悟は積極的に雪に話し掛けるようにした。雪は返事はしたが、それ以上の会話は無く、二人の距離は縮まらない。 そんなある日、午後五時のこと。 「あ、うん、わかった」 政悟は電話を切った。 窓の外では雨が降り、時おり雷も鳴っている。 政悟はため息をつき、階段を上る。 ドアをノックすると、雪が返事と共に開ける。 「今連絡があったけど、お父さん、遅くなるって。雨で列車が止まってるんだって」 「わかった……お母さんも、今日も遅くなるって言ってた」 雪の声は何かに怯えるようだ。 「どうかした?」 「その……」 雪が口をモゴモゴと動かしている。 政悟がさらに訊こうとしたとき、すぐ近くに雷が落ち、明かりが消えた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |