年上の吸血鬼
おバカと理論派
あたしは、貧血の恐怖で思わず後ずさった。
すると、ヴィジュアル君が、下がった分だけ近づいてくる。
「逃げても無駄だよ」
「逃げる?聞き捨てならないですね。私は家に帰るだけですよ」
「だから逃げんじゃねえか」
「違います。私はあなたを知らない。すなわちあなたと私はまったくの他人です。だからあなたの前から逃げたとしても逃げにはならないのです」
「…理論派だな」
「あなたみたいな人と一緒に暮らしてますからね」
私はため息をついて家の方向へと体を向けて帰ろうとした。
「…ちょっと待て」
「?」
呼び止められ、歩こうとした足を止めた。
「何ですか?」
いかにも嫌そうな顔をして振り返って彼を見た。
「知り合いならいいんだよな?」
「?‥まあ、そうゆうことになりますね」
「今知り合っただろ」
「……」
めんどくさい。
すごいめんどくさい。
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