小説(腐主婦の妄想)
第二話 突然の出来事
何気ない日常を毎日慌ただしくこなす日々に慣れてしまい、刺激もトキメキもなくなり“女”である事を忘れかけていた。
旦那と3人の子供を送り出し、やっと自分の時間が出来た。
「ふぅ〜やっと夢小説が読めるぅ〜」
束の間の休息時間に夢小説を読むのが、今出来る娯楽だった。この主婦は、所謂腐女子である。頭の中で有りもしない出来事を妄想して、1人でニヤニヤしながらたまに奇声のようなものを発している。
「………ローさんは、何であんなにもカッコいいんだ!カッコ良すぎでたまらん!!………はぁ〜会えたら良いのになぁ」
ソファーに座り携帯を握り締めながら、天井を見上げる。
『ローさんの所にいけたら、毎日が刺激的なんだろうなぁ。こんな平凡で慌ただしいだけの毎日に嫌気がさす』
そんな事を考えながらボォ〜としていると玄関の呼び鈴が鳴った。主婦はスリッパを履き玄関に向かう途中ふと居間に置いてあった“ある物”をポケットにしまった。
玄関を開けると普通のサラリーマン風の男が立っていた。男は主婦を見るとニコッと笑い話し始めた。
「あなたは日頃から慌ただしく色々と頑張っていますので、休息なんていかがですか?」
なんだ、セールスマンかと思い扉を閉めようとしたらサラリーマン風の男が
「あなたには、私が“見えて”いるんですね?」
扉を閉める手が止まった。振り返るとサラリーマン風の男が話しを続けた。
「あなたは今まで自分の存在を否定してきたのではありませんか?周りの人と違う自分を認めていませんね?自分だけ変……」
サラリーマン風の男の話しを聞いているうちに、目の前が暗くなってきた。そして声すら聞こえなくなってきた。
「心のあるがままに自由に生きてみて下さい。」
意識が薄れていく中最後に聞いた言葉。
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