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BL短編集
通学中
「んじゃ、いってきます」
「いってらっしゃい」

にゃあ、と。
鳴いてるんだけどなぁ。
同時にすっげーイケボが聴こえてくるから不思議だ。
もう慣れたけど。

徒歩15分の大学。
昔からの夢だが。
俺は歌手になりたいと思っていた。
親にも友達にも笑われたけど、本気だ。
俺が通う大学は音大、指針大学。
シグナル、て皆は言ってる。俺も例外じゃない。

なーんて。
重たい脚を動かしながら進むのは近所の公園。

「おーい」

呼んでみた。
誰を?
そんなの、すぐわかる。

「秋!」

ほらきた。

「秋だ、何かくれるの?」

いきなり物を強請るか。
このやろう。

と。
1分もしない内にもう全員集合だ。
猫の団子が出来上がる。


「秋、これからガッコウじゃないの?」
「んー?そうなんだけど…。」
「「「「???」」」」

皆一斉に首を傾げる。
あー、可愛いなー。

「お前達に会いたかっただけだよ。」

「「「「…」」」」

あれ?

猫がそれぞれ様々な反応を見せる。
避難の目を向ける奴。
忙しなく動き出す奴。
飛び掛ってくる奴。

…おい最後。

「ふごぁっ」
「ちげぇだろ秋!俺に会いにだろ?」
「はぁ?」
「あー!傑ずるいよ!」

そう。
この飛び掛ってきた猫は傑。
俺が付けた名前。
なんか、この集団の中じゃ結構やんちゃな方。
何故か毎日俺にーーー

「好きだ!秋、俺と結婚しよう?」

嗚呼。
今まさに言われた。

「あのなぁ、猫と人間じゃ無理だってば。」
「ぐっ…!でもっ!」
「むーり。」

なーんてこともあったなぁ。

まだ。


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あきゅろす。
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