亜麻色の幻想
3
日付が変わって再び昼になった頃、ゴンがようやく沼の主を釣り上げたことを知った。
「大の大人が五人がかりでも上がらんかった沼の主を…」
「この島じゃ10年は釣り上げる者など現れんと思っとったが…」
「大した子供じゃ」
村人のそんな言葉をあちらこちらで聞く。
(ふぅ…やっぱりクリアしちゃったか)
ヒントを出したのは他でもなく自分で、それでもどこかで諦めて止めることを祈っていた。
この結果は大方予測はついていたのだが、それにしても些か早すぎやしないか。
(まさか24時間以内に沼の主を釣り上げるなんて…)
やはりあの子にはハンターとしての資質がある。
「レイン!」
『あ…ゴン。おめでとう、ミトさんに許可をもらえたのね』
何かを片手に、すごい勢いでこちらにやって来たゴン。
その嬉しそうな様子から、直ぐにそれがハンター試験応募カードだということが分かった。
えへへ、と無邪気に笑うゴンの髪から一枚の葉がはらりと舞い落ちる。
「じゃ、行ってくるね」
ひとしきり会話をすると応募カードを手に彼は行ってしまった。
(ふふ…すごい勢い)
あっという間に見えなくなったその後ろ姿に苦笑する。
まるでハンター一直線。
『…さて、私もゆっくりしてはいられないな』
しばらくして呟くとレインは踵を返しその場をあとにした。
なんといっても出発まで一週間しかないのだから。
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