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聖闘士星矢LC 短編
アスプロス 死ネタ注意  切
    これはあの人がまだ生きていたころの思い出…
         なぜ……
    なぜ貴方は謀反などを企ててしまったのだろう…

『アスプロス』
「ん…?あぁ、水羽かどうした?」
『特に用はないよ…ただ、貴方が見えたから声をかけただけ』
「そうか」
『……』
「なぁ…水羽」
『なに?』
「お前は俺についてきてくれるよな?」
『なにを今更…もちろん、ついていくよ。私は貴方の部下なのだから…』

その時の彼の表情はどこか、さみしそうだった…

『え…?シジフォスが教皇の座を?』
「はい。シジフォス様が下りたという事は、おそらくアスプロス様になるかと」
『…分かった。そのことは私からアスプロスに言っておく…行っていいよ』
「ハッ!」
『…双児宮にいるかな?アスプロス…』
     タッ
アスプロスにこの事を知らせようと思い双児宮に向かう
『アスプロス!いい知らせが…!!』
    シ――ン
『………アスプロス?』
双児宮にはいつもいるはずのアスプロスの姿はない…
しかも、デフテロスまでいない……
嫌な予感しかしない……
そう思い、あたりを見回した。
『……あれは…』
テーブルの上に手紙らしきものが置いてあった。
一体誰に描いたのだろうか?そう思い、テーブルの方へと向かった。
『……私に?』
あて先は私に…。一体なぜ?手紙の必要はあるのだろうか?
そもそも、手紙など書かないアスプロスからの手紙など、非常事態以外に考えられるはずがない・・・
『…なっ…!!?』
手紙の内容を見て、驚いた。
そこには信じられないことが書いていたからだ…。
『っの…バカッ…!!』
私は、アスプロスがいるであろう場所へと走り出した。
手紙に書いてあった、文面は……

           ――親愛なる水羽へ――
 ――お前がこの手紙を読んでいるという事は、双児宮に俺はいなかったようだな――
 ――お前が俺についてきてくれると言ってくれた為、この作戦を実行する――
 ――俺は教皇を殺す。我が野望の為に――
 ――他のものが俺についてくれなくとも…お前だけは俺についてきてくれる…――
 ――そう…信じている――
            ――アスプロス――

『……』
走って教皇の間に向かう途中アスミタが見えた。
『…アスミア!!』
「ん?水羽か。どうしたのだ、そのように急いで…?」
『ア…スプロス…アスプロス、見なかった!!?』
「アスプロス…?キミ、まさか…」
『…?』
「水羽、落ち着いて聞け…」
『……なに?』


  ――キミだったら…止められるかもしれんな――
『……アスプロス』
「水羽…?なぜ……」
『アスプロス…バカなことはやめて…?』
「ムリだ」
『っ、なんで!!?そんなことしても貴方に還ってくるのは…!!』
「それでもいい」
『…よくない!!』
「水羽……そこをどけろ」
『嫌だ』
「そうか…ならば力づくで」
『っ…待って!!アスプロス…シジフォスは…!!!』
「分かっている!シジフォスが次期教皇なのだろ!!?」
『アスプロス…それはちがっ!!!』
「なにがちがう!!」
目の前からアスプロスが消えた。それは一瞬の出来事だった…
アスプロスは、私の後ろに回り私の首にあるツボ…をついた
『っ…!!!?アスプロス…!?』
目の前が暗くなった。意識が完全に途切れる前に、後ろを振り返った…
『…ア…スッ……プロ……』
    スッ……―――
彼の名前を最後に呼んだ…最後の言葉だけが、声にならなかった……
「…スマナイ…水羽……」
そして、彼は私の名を呼び静かに私の髪に口づけをした。
「……」
そのあとにゆっくりと仮面を取り、水羽の頬に手をそえた
「…有難う……」
小さく呟き、アスプロスは教皇の間へと向かった。


『っ……アスプロス!!?』
水羽の目が覚めた時には、既にアスプロスの姿はなかった…
『……生きてる…』
てっきり…殺されるかと思った…。
『……!?』
今、アスプロスの小宇宙が弾けた…一瞬強くなってから、消えた……
『アスプロス……』
嫌な予感がした…この予感が外れて欲しいと、心から願った……


バンッ!!

『教皇!!』
「!水羽か!!」
『…きょ、う…こう…アス、プ…ロスは…?アスプロスは……どう、なさいました、か…?』
「……アスプロスは…」
「水羽か…」
『…デフテロス…?アスプロス…は…?』
「……」
『デフテロス…嘘、でしょ?ねぇ…?』
「……」
『デフテロ…!!!』
デフテロスは、無言で私の前から避けた。
そして、避けた先にあるのは見覚えのある人物が一人倒れていた。
『ア、ス…プロ…ス…?』
そう、倒れていた人物はアスプロス…
彼は、血に濡れて倒れていた。
『い、や……アス…プロス…!!!』
水羽はアスプロスの元へと走った…涙をつたわせて…。
『いやだよ……アスプロス…!んで…なんで!!!』
「っ……」
『…く…った……ん……こ…くても…よかった…じゃん…!殺さなくても…!!』
「落ち着け水羽!!」
『…ごめん…』
「すまない…水羽」
『…なんで…謝るの?』
「……」
『デフテロ…っ…まさか…?』
「…すまない」
『…そっかぁ……デフテロスが…殺ったんだぁ…』
「……水羽」
『…フフフ…アハハハハ!!』
「……」
『私はこれからどうしようかなぁ…』
「お前は…兄の部下ではないと嫌か?」
『別に…誰の部下でもいい…』
「…そうか」
「…水羽よ、もうそろそろ…」
『もう少しお待ちくださいませ…。教皇…』
「…分かった」

『アスプロス……』
水羽は、アスプロスの頬に手を当て自身の額を彼の額へと当てた。

これがあの人との最期の思い出…。
私に力があれば、あの人を止められていたかもしれない。
私に実力があればあの人は死ななかったかもしれない…。
私が…私があの人のことをちゃんと見ていたら…
私に……私に…
もっと…力があれば…
『今までありがとう…。アスプロス』
そして、さようなら…
『ごめんね…』
もっと力があれば…止められていたかもしれない…
いや、止められていたはずだ…。
力さえあれば……
『…私…決めたよ、アスプロス……』
    決めた…
『私は…黄金にも、負けない…』
    誰にも負けない…
『力を手に入れるよ』
    力を手に入れる…
『それが私にできる』
    謀反を企てた…
『貴方への……』
    償いだから……



シリアスですね^q^
はい…^q^

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