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夢物語 短編V
ハイキュー【月島】 

『蛍』
「なに、彩郁」
『好き』
「知ってる」
また、それか。私は彼の横顔を見ながら溜息を漏らした。
『…大好き』
「聞き飽きた」
そうじゃない。そんな答えが欲しいんじゃない。ただ一言。一言だけ「好き」って言葉がききたいだけ。
気づいてよ、頭いいのに本当こういうとこ
『…バカ』
「…バカ?僕が?」
ほら、食いついた。さっきまで私に興味なさげだったのに今の一言で私に食いついた。
『バカでしょ…?』
「彩郁に言われたくないよ」
『どこが?』
ムッ、とした顔をしながら蛍に顔を向けた。
「はぁ…」
『なんだよ…』
あからさまについた溜息を聞き私は頬を軽く膨らませた。
「そういう素直じゃないとこ」
『っ、何さ…!』
「ほんっと昔からかわんないよね彩郁は。わかりやすい」
悪戯めいた笑みを浮かべながら蛍は私の方へと近づいてきた。顔が近い。急に気恥ずかしくなり私は反射的に顔を背けた。
「そういうとこ。 赤面症、治ってないんだね」
『…治るものなの、赤面症って…?』
「さぁね、でさ。彩郁、僕に言って欲しいことあるんじゃないの?」
そう言われてさらに顔が熱くなる。
「ないの?」
『…別に』
「ふーん……」
にやにやしながらこっちを見てくる蛍をみて私は腹が立つどころかやっぱ好き、だな、って思うなんて私はそろそろ末期だろう。
私の反応をみると蛍は私に近づきそっと耳元でつぶやいた
「好きだよ、離さないから」
『っあ…』
「彩郁は?」
顔を真っ赤にしてる私をみて蛍は満足気な笑顔を浮かべた。
『す、き…離れない…よ!』
「…うん」
蛍は私の頭を優しくなでると軽く抱きしめてくれた。私よりも大きな体に軽い安心感を覚えながら私は笑みをこぼした。


あきゅろす。
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