3 パイシーズは恐るるに足りないのだが、やはりゾディアークの力は計り知れない。 今回の通信はそのゾディアーク監視目的で組織した施設からのもので、『動きがあった』とはやはり彼等との対決は間近なのだろう。 鉄の扉の前に立って群青の瞳に網膜スキャンを受け、その扉の奥へと脚を踏み入れる。 薄暗い部屋の中にはコンピュータのモニターが煌々と光を放っていて、人々が世話し無く動き回っていた。 「閣下、こちらへどうぞ」 受話器から流れてきたのと同じ、局長の声に案内され、奥まった部屋に通される。 局長はコンソールを叩きながらも、ヴォルフへ声をかけた。 「ゾディアークの新兵器と思われる兵器を撮らえました……空を飛ぶんです、信じられますか?」 局長の声にはかなり、驚きの色が見てとれる。 昔から“空には魔物が住んでいる”と言われ、機械的な物を空に飛ばすと、不思議な力で破壊されるのだ。 その為、この国には航空技術が無い。 モニターの映像が切り替わり、現れたのはの海を航行している大型戦艦に似た飛行艇の姿だった。 鈍色に輝くその機体が、不気味に浮いている映像が映し出されている。 「これは……ミスタリアのゲオルグには連絡を入れたか? 奴でなくては説明できぬだろう」 「説明は今、ここでしますか?」 [*前][次#] |