入学式
これは、夢だ。誰か夢だと言ってくれ。
入学式、初日から遅刻した。
僕は、成績優秀、(と言っても、彰と言う、超秀才の家庭教師がいたからなんだけど……。まあ、兎に角、)入学試験満点で入ったから、新入生代表の抱負読まなければならない。
取り敢えず、体育館の前まで来た。
さあどうするか。もう、式は始まっている。恥ずかしさをこらえて、体育館の扉を開け、何百人の視線が集中する中、席に着くしかないか。
んーー!!!
もう、いっそ、帰ってしまおうかと諦めかけた時、扉が開いた。
「……もしかして、小松くん?」
「はい!そうです。遅れてすいません。」
助かったー!!!
「いや、話は聞いているよ。真田くんの手伝いをしていたんだって?」
「え?真田…?」
「あ、本名は、東條くんだったか。さっき、東條くんから電話があってね。引き留めてしまって悪かったと言っていたよ。資料を集めていたんだって?」
「あ……、まあ、はい。そんな所です。」
真田くん……、真田春菊とは彰のペンネーム。
彰は、中学の時から小説を書いていて、才能のある若手小説家としてちょっとした有名人だったりする。
ペンネームは、自分の好きな小説家からとったようで、彰の本名と全く違うから、偶に真田春菊と言われてピンと来ないことがある。
実際は違うことが主な遅れた原因……なのだが、一応昨日は手伝いもしたので、そう言うことにしておいて、先生には苦笑いで頷いた。
と言うか、彰、少しは僕が遅れたこと気にしてくれてたんだな。
後で一応礼を言っておこうか……。いや、そもそも、彰のせいで遅れたんだし、要らないか。
「じゃあ、そろそろ、抱負読む時間だから、小松くん中入って。」
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