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「彰!!」
「……嫌だ。」
「はぁ!?」
待て待て。何言ってんの、この人!?
彰はやけに低い声で否定を示し、改めて僕を抱き直すと、一蹴りで商店街の屋根の上に飛び乗る。
「「「おぉ!!!」」」
すると、周りで僕らに好奇の目を向けていた人達が感嘆の声をあげる。
……そう、ここは、商店街のど真ん中。
多くの人が行き交う中、お姫様抱っこを男がされていたなんて……最悪。
然も、今彰が屋根に飛び乗ったりしたから、更に注目を浴びている。
……って、男を抱えて飛び乗るとか、彰はどんな身体能力をしているんだ!?
「……宇宙人だったとか。」
「宇宙人?……んっ……、帰るぞ。」
彰は、僕のつぶやきに反応を見せ、……僕の声が、気のせいだったかと思ったのか?屋根づたいに俺をお姫様抱っこしながら、今度は走り出した。
何をそんなに急いでいるのかと、彰を見上げる。
彰の髪が、風になびいて、やけに白さが引き立つ。なんかとても不思議な気持ちになった。
行き先は、……多分、彰のマンションだろう。
彰のマンションを思い浮かべてため息をつく。今日は、色々あったから、彰といたい気分じゃない。
だけど……。
彰しか帰る場所のない僕は、遠い何処までも暗く……、青い空に思う。
彼に付いて行くしかないと。
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