そっと青い
うっすらと焦点の合わない瞳に光が射す。
ここは何処だろう?
手を前へさしのべると、誰かに手を握られた。
「和?……起きたのか。」
優しい声に呼ばれて、ぼおっとその声の主を見る。
彰が此方を見ていた……そして、また前を向いて歩き出す。
え?
……僕を……お姫様、抱っこして!?
「な、なな……っ!!」
「な?」
辺りは、夕暮れで、マジックアワー、一色。薄紫の雲に、オレンジ色の光が当たる様子はとても綺麗だけれど、今はそれどころじゃない。
僕は夕日ではなく、明らかに躊躇で顔を赤く染めていった。
「な、なな、何してんの!?」
「何って……、何が?」
僕が滅茶苦茶に度盛りながら顔を染めて言うと、彰は何を言っているんだと首を傾けられた。
「な、何がじゃない!!降ろせ!!バカ、バカ彰!!」
「はーー?ここまで運んできてやったのに、そりゃないだろう。然も、俺、和より頭いいのに、バカなわけないし。」
バカ彰は、自分で頭がいい奴だと言い張った。
勉強がちょと僕より……出来るからとか、ちょっと……僕より頭がきれるからとかじゃなくて!!
こいつは、性格が可笑しい!!行動もバカじゃないかと思う。
「もういい!!降ろして!彰!!」
僕が必死の血相で彰に向かって言うと、彰は立ち止まって、僕を凝視してきた。
そして、何故か、目を点にした。
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