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桜の人




そう、初めて会ったのは、春の穏やかな昼過ぎだった。


暖かい日差しと風がさして、すごく気持ちがよかった。


青い空が、大地の風と共に、雲を彼方へと飛ばして、ゆっくりと遠くを行き渡る。


川の音は、沿うそうと岸に沿って流れゆき、とても静かだ。


ここは、まるで都会の中のオワシス。


そんな場所の桜の下で、ぼんやりと本を読んでいた俺に、話しかけてきた人がいた。


『……何の本を読んでるいんだ?』


僕は、振り向いて驚いた。


まるで、その人は桜、そのもの。桜の精霊か何かかと思った。


だって、その人は、真っ白な髪に、藍色の着物に身を包んで、桜の木の上から俺に呼び掛けてきたのだから。


『ぶっ……面っ白い顔。』


固まって口をあんぐり開けていると笑われた。


僕は、その人の顔をみて、驚いた。


笑ったその人の顔は、とても親しみがわいて、すごくすごく落ち着いた。


そしてそれは……、とても久しぶりな気持ちだったから。



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「あ……、あき……………ら?」


ぼんやりとだけど、僕の視界に真っ白な髪が映った。


がっしりとした彰の体が、しっかりと僕を支えてくれてくれていた。



あ、彰が、どうしてこんなところに?


いや、この学校の学生なんだから、普通はここにいるはずなんだけど、彰は小説家だ。


家で小説を書いているはずなんだ。



「和、もう大丈夫。しばらく、おやすみ。」



彰の手が優しくまぶたに下ろされた。……その言葉は、とても、暖かくて。



ぼんやりと、彰は、なんで、こんなに俺に優しくしてくれるんどろうと思った。


なんで・・・・・・。


どうして・・・・・・?





そんな疑問が、わいたけれど、今は兎に角、気持く眠れそうだった。


僕は聞いて見たい気持より、眠気に負けて、今度は、安らかな気持ちの中、意識を飛ばしていった。



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