いろはうた
いろは歌という歌がある。
"いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす"
色々な解釈があるけれど、これを七文字ずつに区切って最後の文字を読むと、
とがなくてしす
……咎なくて死す
と読める。
もし、この詩を書いた人が、この言葉を歌に込めらて作ったのなら、僕はこの歌を作った人に会ってみたいと思う。
そして、この浮かび上がってきた言葉に意味があるのなら、無実であるのにも拘わらず、死んでしまったということなのか、罪科もなく、清らかに死んでいくということなのか、知りたい。
よくこのことで、あの人と話した合った。
"香りよく色美しく咲き誇っている花も、やがては散ってしまう。
この世に生きる私たちとて、いつまでも生き続けられるものではない。
この無常の、有為転変の迷いの奥山を今乗り越えて、
悟りの世界に至れば、もはや儚い夢を見ることなく、
現象の仮相の世界に酔いしれることもない
安らかな心境である。"
この歌は、あの人と俺を結ぶ、ただひとつの歌。
だから、僕にとって、いろは歌は、懐かしさにつつまれた、世界一大切な歌だ。
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