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狐嵐帝記



白欺が泊まるにあたり、寝台が必要になった(嶐伽は床で寝てろとか言っていた)
人が来ない山奥な為、来客なんか想定していない。

よって、朴都の寝台を白欺に貸し、朴都は嶐伽の寝台で一緒に寝る事になった。


慣れない枕だからか、中々眠れない。


「・・・朴都、あの白欺という男に何か言われても、信じてはいけないよ。二人きりになるのも駄目だ。一緒にどこかに行くなんて論外だよ」

「何で?白欺、そんなに悪い人に見えないよ」

「・・・・」

兄――といっても血は繋がってない――が黙ったので、呆れたのだろうか、と朴都は不安に思った。
しかし、何を思ったのか、嶐伽は朴都を抱き寄せた。
意外にしっかりしている胸板に抱き寄せられ、その腕を枕にする形になった。

「・・・・頼むから、私から離れていくな。朴都・・・」
「・・お兄・・?」

問い掛けたが、嶐伽は答えない。眠ってしまったのだろうかと疑問を持った頃、ようやく答えた。

「・・・何でもないよ、朴都。こうしていると、小さい頃みたいだね」


朴都は小さい頃、よく嶐伽の寝台に潜り込んでいた。
雷が怖い、お化けの声がする、悪い夢を見た、真っ暗闇がいやだ、といって、眠っていた嶐伽をたたき起こして。

今は、そんな事はないが。


「そうだね。お兄と寝るの久々だ・・・」

うとうと眠くなってきて、夢うつつで呟く。

嶐伽の手が髪を撫でる感触を心地良く思いながら、朴都は目を閉じた。





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