狐嵐帝記
王命
「私は、我が父にして今上陛下より、末の公子を探し出す様に密命を受けて来たんです」
「末の、公子?」
「そう、朴都・・貴方です」
愕然とする朴都に、白欺はにっこりと微笑んだ。
「馬鹿をいうな。それが朴都である証拠が何処にある?」
「私の占いは、外れた事がないんです。それは過たず、この人気のない山奥を示しました。そして、末の公子と近しい年齢の少年がいた・・・果たしてこれが、偶然ですかね?」
「な、何で末の公子は、王宮にいないんだよ?」
「掠われたんです。・・まだ、生まれて三月も経たぬ時に」
「馬鹿馬鹿しい戯言だね。信じる証拠もない。実は山賊で、その通行手形は役人を殺して奪った物かも知れないし。帰れ」
にっこり、と笑顔を浮かべて、嶐伽は蝿を追い払う様に手を振った。
「こんな日暮に、追い出すのは可哀相だよ、お兄」
「朴都・・・だが、万一山賊だったら寝首を掻かれるんだよ」
「う・・・で、でも、何て言うか、・・白欺さんは、そんな悪い人じゃない気がするよ。せめて今晩だけでも、泊めてあげよう」
その後、朴都がごねて、白欺は泊まる事になった。
・・・・嶐伽は、最後まで納得しなかたが。
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