私立城聖学園(連載中)
9(塩野崎said)
本来ならそこまで熱心になることではないですが、磯崎君を見ていたら何かできることはないかと本気で思った。
学園で強姦なんて珍しいことではない。多少のことでは学園は動かない。
しかし、義理の兄が生徒会にいるとなると話は別だ。
この学園では時に生徒会は教師よりも実権を握る時がある。だからこそその実権を利用しないような優秀な生徒が生徒会に選ばれる。
いつもならこの程度は適当に寮謹慎で済むだろうが、今回のケースだと磯崎誠二君が次に犯人を見かけたときに襲いかかりかねない。
しかも彼は生徒会だ。もみ消すのも簡単だろう。
ということで、今回はしっかりと議論した上で処分を決めようということになったのだ。
磯崎君は私が思っていた以上にトラウマになっているようだ。
何度も口を開こうとしては、声も出ずに結局閉じてしまうということの繰り返しだ。
これは処分法を決める以前に彼の恐怖心を取ってあげたほうがいいと思った。
だが、そのためには何があったのか自分でしっかりと理解していないといけないと思う。
だからこそあえて、彼の言葉でその時の状況を説明してもらわなくてはいけない。
真剣な目で訴えかけると、磯崎君は静かにうなずいてくれた。
彼も私の言わんとしていることが分かったようだ。
ゆっくりで大丈夫という言葉をかけたからだろうか、彼はゆっくりとその時の状況を話し出した。
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