私立城聖学園(連載中)
8
言葉にしたくてもどうしても言えなくて、もどかしい。
「磯崎くん、言いにくいとは思いますが、君の証言で彼らの処分は左右されます。どうか協力してください」
「はい…わかっているんですけど……」
言おうとすると、あの時の事を思い出して動けなくなってしまう。
「言葉にできないんですね?」
「…どうしてそれを…」
「それくらいわかりますよ。君の担任ですから」
先生は優しく微笑む。
とても安心できる笑顔だ。何だか懐かしい気分になる。
「私では役不足かもしれませんが、君の役に立ちたいと思ってます。まだ学園にきて2日目ですが私の事を信じてくれませんか?」
先生の目はさっきの優しい微笑みとは裏腹にとても真剣なものだ。
「少しずつで構いません。ゆっくりでいいので、焦らずにその時の状況を教えてくれませんか?」
目は真剣なのに優しい先生の言葉。
少しずつ、僕はあの日のことを思い出す。
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