私立城聖学園(連載中)
7
「終わったら電話するから!」
思わずそう言ってしまった。
するとジュンは笑ってくれて、タクは笑って手を挙げた。シノは手を振って送り出してくれる。
それを後ろ手に見ながら僕は教室を出て行った。
職員室に来るのは教科書をもらいに行った以来だ。といっても昨日だけど。
「ちょっと待っていてくださいね」
そう言うと職員室に入っていった。
荷物だけ置くと、先生がでてくる。
行きましょうか、と言って連れていった先は進路指導室。
城聖に入ってれば大抵どの大学にも入れるので、進路指導室はほとんど使われることがない。
たくさんの赤本や大学の資料に囲まれた部屋は、普段から使われていないような匂いがした。
少し埃っぽい。
先生に椅子に座るように促されて、埃を払ってから座る。
先生は窓を開けると僕の正面に座った。
「それじゃあ早速本題に入ります。察しはついていると思いますが、昨日のことです」
やっぱり。
先生の言ったとおり察しはついてた。
「君にとっては嫌な話題かもしれないけど、少し我慢してください」
そう続けると、手に持っていたファイルを開いた。
「昨日の放課後、一人で寮に向かう途中に2年生3人に襲われたんですね。どうやら未遂だったようですが、その時の状況を詳しく教えてくれませんか」
僕は僅かに頷くと、昨日の状況を説明しようと口を開いた。
だけど開いた口からでてきたのは、言葉ではなく吐き出した空気だけ。
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