私立城聖学園(連載中)
15
相変わらず3人は僕を挟んでにらみ合っている。
いつの間にか野次馬まで出てきてるし、とても気まずい。
もうその場から立ち去りたいけど、相変わらずシノもタクもジュンも僕を離してくれそうにない。
もうそろそろ本気で逃げたいと思ったそのとき…
「なにやってんだ?」
神の声が聞こえた。
一瞬空耳かと思った。
だって、僕のよく知ってる人物の声だったから。
でも、その人物が目の前に現れたとき確信になった。
「義兄さん!!」
僕は声を張り上げてその人を呼ぶ。
僕の養父母の実子にして、僕の義兄さん。
磯崎誠二(イソザキ セイジ)だ。
「おーおー早速注目を浴びてるな」
「義兄さん!!」
3人が気を取られて手を離したうちに僕は義兄さんに駆け寄る。
「お―!ユウ!!」
義兄さんはヒョイッと僕を縦に抱き上げる。
これは恒例のことだ。
義兄さんが寮から帰ってきたときは必ず抱き上げられる。
最初は抵抗したが今はもう慣れてしまった。
でも、やっぱりみんなが見てると恥ずかしい。
僕はもぞもぞ動いて義兄さんから降りる。
「ユウ、ちょっと見ない間にまた一段と可愛くなったな」
「一昨日会ったばかりでしょ?」
義兄さんは春休み中はずっと家で過ごしていたのでその間は一緒にいた。
ちなみに、"可愛くなった"と言うのは無視する。
いちいち気にしてたらキリがないからね。
[←*][→#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!