私立城聖学園(連載中)
14
「今って何時だ?」
「4時ちょい過ぎ」
タクが聞いてジュンが答える。
僕はと言うと、シノが狙われない理由をうんうん唸って考えている。
しかし、それはある提案によって停止させられた。
「ユウキ、寮内を案内するよ」
「うん……っえ?」
「ユウちゃんったら、今の聞いてた?」
「…え?あ、聞いてない。」
「寮内を案内したげる!行こ?」
シノが僕の手を引く。
ジュンとタクはもう玄関に向かっている。
シノに腕を組まれたまま部屋を出る。
廊下を歩きながら色々な話を聞く。
生徒会のこと、授業のこと、行事のこと。
みんな初等部からいるらしく、さすがに詳しい。
とても良い人たちに巡り会えたと思う。
寮内で廻れるところと言ったら、ショッピングモールと寮学食しかないらしい。
ラウンジは、あまりいかない方が良いと言われた。
理由は言ってくれなかったけど。
寮学食はご飯の時に案内してもらうので、ショッピングモールに行くことにした。
ショッピングモールにはスーパー、本屋、CD・DVDショップ、ゲーセン、服屋、美容室、文具店、雑貨屋など生活に必要な店が大方揃っているらしい。
確かにフロア丸々をショッピングモールにすればそれ位の店はあって当然かもしれない。
にしても、普通の私立でさえあったとしても購買くらいだろうにさすがにお金持ち学校は違うとまたもや身をもって知る。
きょろきょろとあたりを見渡す僕を3人は面白そうに見ている。
「そんなに面白い?」
「面白いというより珍しい!」
「それはそうか」とジュンは呟いて僕をじっと見てくる。
僕は、どうしたのという風に見返す。
笑顔のままジュンは
「ん?可愛いなぁと思って。」
さらりと言ってのける。
「だからっ何で男にそんなことを言えるんだよ!?第一僕はそんなこと言われたって嬉しくない!!」
もちろん反論する。
すると今度は、タクが僕に肩を組んできた。
「こらっ!ジュン、抜け駆けすんなよ!!」
「そうだよ勝手にユウちゃんを口説かないで!」
シノは僕の腕に手をまわす。
何なんだこの光景は!
大の男が3人口論してるなんて!
しかも僕をはさんで!!
それだけならまだしも何でみんな僕にひっついてるの!?
周りの視線も気になるし…
だってものすごくじろじろと見られてるよ!
なんかもう遠慮とか知らないだろってくらい見られてるんだけど…
入寮早々こんなに注目を浴びる羽目に会うなんて…
僕、この人たちと一緒にいて大丈夫なのだろうか…
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