私立城聖学園(連載中)
10
寮の部屋は思った通り凄かった。
共同部屋と言っても、部屋は個々に付いているし、プライベートは守られるみたいだ。
それよりも、僕はさっきからしょんぼりしている同室者が心配だ。
陽気に名前を訪ねられたから、ちょっとムッとしちゃっていい加減に答えちゃったけど…
ちょっとやりすぎたかな。
ひたすら平謝りされて、部屋を案内してくれると言ってくれた。
驚かされた時はムカっとしたけど、そこまで悪い人じゃないみたい。
「えっと…もう怒ってないよ?」
可哀想になって声をかけてみる。
「ホントか?」
「うん。」
「そっか。良かった!!始まりから剣幕だと後々もイヤだしさ。」
「うん。そうだね!」
やっぱり悪い人ではないみたいだ。
むしろ気さくで話しやすいかもしれない。
「それじゃあ改めて、俺は榊拓斗。1ーSだ。」
Sって言うのは、スペシャルクラスってこと。
学力優秀者上位20人からなるクラスで僕もこのクラスだ。
「僕は磯崎結城。同じ1ーSだよ。よろしく、拓斗くん。」
「“くん”なんか付けんなよ。呼び捨てでいいよ。」
「じゃあ、タク!」
「うん。好きに呼んで。ユウチャン★」
「"ちゃん"って、女の子じゃないんだから…」
「だってかわいいんだもん。」
か、かわいい!?
いきなり何言ってんだよ。
っていうか男の僕に向かってかわいいとは、よく言えるよな。
僕は多分すごく渋い顔をしていたんだと思う。
「無自覚かぁ…それもいいんじゃない?」
「何が?」
訊かれても困るんだけど…
「いや、なんでもないよ。でも気をつけなね。」
だから、何が?
そう言えば創矢さんにも言われた気がする。
この学校の何に気をつけなきゃいけないのか、それがわからないんじゃしょうがないいんじゃ…
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