私立城聖学園(連載中)
9(彼side)
目の前にムっとした男が立っている。
その表情は怒りを訴えていることは見ればわかる。
だが…なぜ……
何故……こんなにも…
可愛いんだ!!?
俺は2日前から入寮を済ませていた。
今日来るとか言う外部生の同居人。
一体どんなやつだろうかと思いながら、のどが渇いたからフロアに設置されている自販機まで買いに行く。
その間も俺の想像は膨らむ。
やっぱり、外部生で特待生だし眼鏡なのか。
安易だが、頭の良いやつはみんな掛けてるイメージがある。
あっ、でも学級委員は頭良いけど掛けてないや。
自販機でコーラを買って部屋に戻る。
部屋の前には見知らぬ男が立っている。
説明されなくても分かる。
あれが、外部生か…
顔がよく見えないけど、今まさに扉に手を掛けて開けようとしている。
俺は思い付きで、静かにそいつの後ろに立つ。
小さいな。
160前半ってとこか。
まだ俺の存在には気がついていない。
そいつに向かって「わっ!!!」と大声を出す。
すると、ビクッと跳ねて硬直した。
予想以上の反応に思わず噴き出してしまった。
俺は体をくの字に曲げて大爆笑した。
やべぇ、笑いが止まらない。
そのとき、硬直していたそいつが我に返ったのか勢い良く振り返った。
俺はそのとき初めてそいつの顔を見た。
そして、俺の中の時間が止まった。
なんだ、こいつは!!?
なんだ、この可愛さは!!!?
怒りを訴えている表情だが、何故か無性に可愛く思えた。
俺はそいつを凝視した。
最初はそいつも黙っていたが、居心地が悪かったのか「えっと…何?」と首を傾げてきた。
しかも上目遣いだ。
反則だろ!!
「…あ―…俺は榊拓斗。お前は?」
「磯崎結城。」
どうやらまだ警戒しているようだ。
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