私立城聖学園(連載中)
6
「…これが部屋の鍵な。」
渡されたのは、クレジットカードのようなものだ。
「…ここではカードが部屋の鍵と財布代わりになる。」
カードか…
やっぱりハイテクなんだな。
そういや、前に泊まったホテルもそうだったけか。
僕はカードを受け取ってまじまじと見る。
校章が入ったシンプルなゴールドカードだ。
「それと、部屋は401だから。」
401か…番号的には端になるのかな。
同じ部屋の人、良い人だと良いな。
「…説明はここまでだ。何か質問は。」
「ないです。」
「……それと…一応忠告。お前気をつけた方がいいぞ…」
気をつける?
「何をですか?」
主語がないから解らない。
僕は正直に疑問に思ったことを言っただけなのに、驚いたような顔をされた。
「…まさか…無自覚か?」
だから、何が!!
僕はわからないという風に首を傾げた。
創矢さんはため息をついた。
わからないものはわからなんだからしょうがないじゃん!
説明不足なのが悪いんじゃないのか。
「…お前、それ反則…」
創矢さんがぼそっと何か言った。
でもその声は僕にはよく聞こえなかった。
「とにかく、背後に注意するんだな。」
そう言うと、創矢さんが僕の頭をわしわしとなでる。
というより掻き乱す。
とても雑なやり方。でも、やさしさも感じられた。
「…それと、同室のやつは良いやつだぞ。よかったな。」
ふと笑った。気がした。
なんだ、いい人なんだ。
「…そんじゃぁ早く部屋に行っちまえ。荷物は届いてるから。俺は…寝る。」
そう言うと僕から手を放し、そのままソファーに寝っころがってしまった。
僕はお礼を言って部屋から出ていった。
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