Glare
2
「─────…、」
青年は、泣きながら目を覚ました。
まだの幼さの残る顔。
けれど其(そ)れに反して逞(たくま)しく整った筋肉がつく身体。
その一部である腕で、目を擦る。
何度も、何度も涙を拭いて。
やっと止まった頃には、青年の顔は紅くなっていた。
最後にもう一度目を擦って、青年は起き上がる。
マシになってきたものの、まだまだ寒い朝の寒さに身を震わせつつ、青年は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一口口に含んだ。
そしてそのミネラルウォーターを持ったまま洗面所に向かい、鏡で自身の紅くなった瞼(まぶた)を見た青年は、嫌そうに顔を歪める。
次(つ)いで青年は蛇口を捻(ひね)り水を出そうとする。
しかし、その前に何処からか水が落ちてくる。
ぽつ、ぽつと、止む事を知らないとでもいうように落ちてくる水。
それは、俯いた青年の瞳から。
ぎり、と何かを堪えるように奥歯を噛み締めた青年は、誰も居ない部屋で呟いた。
消えそうな声で、一言だけ。
「政宗、殿っ…!」
世界で唯一の、ある人の名を。
Glare
名詞:ギラギラとした強い眩しい光、睨み、派手な事、けばけばしさ、氷などの輝く滑らかな表面
動詞:睨み付ける、輝く、ギラギラする、反射する
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