Glare
1
紅に染まる蒼。
紅に染まる貴方。
この光景を一度だって忘れた事は無い。
『真田幸村──────』
天(ソラ)に広がる蒼。
目の前に開けた蒼。
何時も己が纏うのは紅。
何時も貴方が纏うのは蒼。
決して交わらない紅と蒼。
交わる筈の無い“正反対”の色。
只(ただ)見ているだけの“高嶺の華”。
やっと貴方に会えたと、
やっと貴方に染まれたと、
やっと貴方に触れられると、
天に向かって手を伸ばした己は、
天に向かって笑った己は、
天に向かって泣いた己は、
なんて、愚かだったのだろう。
紅が蒼に染まる筈も、
蒼が紅に染まる筈も、
紅と蒼が交わる筈も、無かったのに。
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