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オワリハハジマリ
睡魔

「おやかたさまむぁぁぁぁぁ!!!」

「ゆきむらぁぁぁぁぁ!!!!」

…朝から何だ誰だよ五月蝿いな。

「おや、かた、さむぁぁぁぁぁ!!!」

「ゆぅきむらぁぁぁぁぁ!!!」

…声大きいんですけど眠いんですけど寝たいんですけど五月蝿いんですけど。

「さすがですお館様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うむ、精進せい幸村!!」

精進の前に自重しろ其処の二人。

「佐助ぇぇぇぇぇぇ!!!」

…誰かアイツに自重って言葉を教えてやれ。
そしてせめて静かに部屋に入って来てくれ。

「はいはい旦那。此処に寝てる人いるから静かにね〜」

その通りだ今俺絶賛睡眠中。

誰だか知らないがありがとう。

「うむ、そうであった…。
まだ、目を覚まさない、か?」

「うーん…。そろそろ起きてくれないと俺様責任感じちゃうんだよね〜」

「もう三日も眠っておられるからな…」

…何か今から眠る身としては寝にくい話題だな。

…つかその人どんだけ眠いんだ、三日って…。

「…何か、あったのであろうか…」

「…あったんだろうね」

…何か空気暗くならなかったか?

つか喋るな俺眠れねぇ。

後、五月蝿いのも嫌だけど暗すぎるのも勘弁してくれ。

寝にくいから。

…ってかこの子?

「早く起きてくれるといいね…って、」

…急にどうしたオレンジのお兄さん。

「起きて、る…?」

俺の目の前で手をひらひらしつつ、オレンジのお兄さんは言う。

「おーい?起きた?」

…その手止めろ俺眠れない。

ていうかその手うざい。

「ホントに起きてる!?反応ないんだけど!?」

「目は開いておるが…取り敢えず良かったな、佐助!」

……………………。

…もしかして、ってかもしかしなくても、

(…俺に、言ってないか…?)

「…おーい?」

「…はい…?」

「あ、やっと返事した」

あぁ、やっぱりか。

シカトしてごめんオレンジのお兄さん。

「佐助、某はお館様にお伝えしてくる!」

「うん、宜しくね旦那」

そう言って視界の隅に居た紅いお兄さんはぅおやかたさむぁぁぁぁぁ!!!!とか叫びつつ襖を乱暴に開けて走っていった。

…元気、だな。

「おーい?」

「何ですか…?」

「あぁ、良かった。また寝るかと思った」

「…朝、弱いから…。一応…起きてます…」

…反応なくて悪いオレンジのお兄さん。

俺朝にはかなり弱いから。

「ま、今はもう昼なんだけどね。良かった、アンタ三日も眠ってたんだよ?」

「三日…」

…いくら眠いからって寝すぎだろう俺。

「そ、三日」

「…寝すぎ…」

「うん、そうだね」

…うんだよね。

ていうかさっきから疑問だったんだが。

「お兄さん、誰…?」

「今更!?」

うん今更。

そして此処何処だ?

何か天井に何もないのがかなり珍しいんだけど。

「覚えてないの?
三日前、アンタが山の中に居るのを俺様が発見したんだけど」

「山…」

山?

山なら近くにあったはずだが行く理由がないんだが。

「そ、竜の旦那の刀を持って、ね」

「りゅーのだんな…」

…竜、の旦那?

独眼竜、伊達政宗?

「かた、な…」

…ちょっとまて銃刀法違反だぞ俺。

ていうか伊達政宗の刀なんて何で持ってんだ俺。

「まだ思い出せない?」

生憎。

刀、独眼竜、伊達政宗、銃刀法違反、山、お兄さん───。

「…あ」

「思い出した?」

…思い出してしまった。

認めたくない事実、を。

「一応…」

…思い出さなきゃ良かった。





(思い出さなきゃあの紅も梟も何もかも夢で片付いたのに)








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