ねがわくはきみの
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知らなかった
伸ばした指が空を切る刹那さなんて
ねがわくはきみの
ざあざあと、音がした。
(…また、か)
此処一ヶ月の間にすっかり慣れてしまった“其れ”に、俺は嘆息した。
締め切りの危ない大学のreportを作成していた手を止め、俺は音源へと足を向ける。
向かった先は、洗面所。
俺の視線の先では、洗面所に取り付けられた蛇口がざあざあとムカつく程に勢い好(よ)くwaterを流して居る。
其れに一つ溜息を吐(つ)いて、少しきつめに蛇口を閉めた。
動作を終え喉の渇きを覚えた俺は、kitchenへ向かいwaterを出そうと冷蔵庫の取っ手に手を掛ける。
『───て、今日は───』
「ッ!」
静かだった空間に、突然流れた人の声。
柄にも無くびくりと身体を震わせる俺。
平素より早くなった鼓動に深呼吸をし、そしてwaterの容器を取り出してから緩慢な動作で足をlivingへ。
『はい、では今日の特集です』
livingで人の気も知らずに愛想良く笑っていたのは、名前も知らない女子アナウンサー。
『四月ももう終わりに近付きました。皆さんは新しい生活に慣れたでしょうか?』
「…毎日起こってりゃ、慣れるに決まってんだろ…」
にこにこと笑う名前も知らない女性アナウンサーに小さく溜息をつき、俺はwaterを握る手に無意識に力を入れた。
俺は伊達政宗。地元の公立大の看護学部に通う大学二年生だ。実家を出て一年程前から一人暮らしをしている。
住んでいるのは大学も駅も近くそして家賃も安い、中々に住みやすいapartmentだ。…ちょいとボロいのがfaultだが。
一年前は慣れない事ばかりで騒がしかったが、今ではそんな事はねぇ。少なくとも、一月前迄はそうだった。
「…そろそろ、specialirtにでも聞くべきか…?」
そう溜息を吐くのと同時に流れだしたkitchenの蛇口にもう一度溜息を吐いてから、嗚呼でもspecialirtなんて何処に居るか知らねぇなと俺は頭を掻いた。
一月程前。
慣れきったroomでnormalに過ごして居た俺に、可笑しな事が起きた。
がちゃんと派手な音を立てて、deskの上に置いていたglassが落ちて割れたのだ。
まぁ、丁度glassに触れた後だったから其の時は気にしなかった。只の俺の不注意だと思った。
然し、それが一日に何度も、然も殆ど毎日、更に言えば足音がするとか金属か何かがが擦れる音がするとかと謂う現象と共に起きた。
そんな状況が続いて早一月。
それが現在の俺。
(大体、specialirtって居るもんなのか?誰かに聞いても分かるもんじゃねぇだろうしな…)
…己の事ながら良く一月も耐えたと思っている。最近なんかじゃビビるよりglassやdishesの金も馬鹿にならねぇと見えない何かに怒りを抱く程だ。
まぁ最近はplasticのglassにしたりdishesを出しっぱなしにしねぇ様にしたから、大したdamageにはならねぇが。
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