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しょーと
何より貴方が(政幸/玖樹様へ)





暖かい陽射し

解けて流れ出している雪水

柔らかな花弁を開いた花

囀(さえず)る鳥の声






「…お久し振りです、政宗殿」



「あぁ…I wanted to meet you…逢いたかったぜ、幸村」





何より貴方の





思えば、再会は、約五ヶ月振りだった。

互いの国が豪雪地帯という事もあり、一度雪が降ってしまえば互いの国を行き来する術(すべ)は無く、会う事はおろか文を交わす事さえ不可能に近い。

春が訪れ、雪が解けるまで。

もし雪が解けたとしても、互いの都合があり、直ぐには会えない。

今回も互いの都合が一致するまでに半月程かかった。

…己で言うのも何だが、それも名のある武将同士なら仕方の無い事である。

己にとってこの五ヶ月は、雪に閉ざされた世界の中、只、ひたすらに春が来るのを待つ五ヶ月だった。

雪が解けたら我先にと文を送り、直ぐにでも逢いたい気持ちを抑え、必死に互いの都合を合わせた。





「…お変わりありませんか?政宗殿」

「Sure.幸村こそ…変わりねぇか?」





久し振りに見る、愛しい愛しい人の顔。

熱くなる胸、滲み出そうになる涙、異常に速くなる鼓動を自覚し、そしてそれらを必死に抑えつけながらも、微笑みながら穏やかに会話を交わす。





「ありません。政宗殿…本当に、お変わりありませんね?」



「Yes.」



「そう、ですか…それは…、良かった、です」



「Me too.…本当に…変わり無くて良かった、幸村…逢いたかったぜ…?」



「…っ、政宗、殿ぉ…!」





二度目の確認をし、溢れ出てきた安堵を素直に口に出せば、中々普段は見られない、独眼竜として名高い恋人の優しく微笑んだ顔が有った。

嗚呼、夢では無い。

思った瞬間に遂には溢れ出してしまった涙をするりと掬い取られて、我慢しきれずにずっと恋い焦がれていた身体に抱き付く。

ぎゅっと抱き返してくれる腕は、とても強く。

嗚呼、矢張り夢では無いのだ、と恋人に負けじと力一杯目の前に居る愛しい恋人の身体を抱き締める。





「政宗殿…政宗殿…っ!」



「幸村…」





こんな情けない声は出したくなかったのに。

そう思うのに、久し振りに恋人の体温を感じた身体はただ情けなく声を出し、涙を流してしまう。

くすりと笑われ、背中を摩(さす)られながら何度も名前を呼ばれる。

…勿論、久々に会ったので、それだけでは物足りない。

互いの名を呼びながら、固く抱き合い、気を遣ってなのか何なのか先程から一言も言葉を発していない従者の存在を頭の片隅に追いやり、そしてどちらからともなく啄(ついば)む様に軽い口付けを交し始める。





「…んっ…む、」



「…幸村…」



「っ…政宗殿…」





次第に歯と歯が当たる程までに深いものに変わっていった口付けを何度も何度も繰り返し、喉を鳴らし、存分に互いの唇を堪能し、そしてきっと赤く染まっっている顔で、恋人とこつり、と額と額を合わせる。





「政宗殿…冬の間、ずっと不安でした。怪我をなさっておらぬか、風邪を引いておらぬか…」



「あぁ…元気そうで何よりだ」





若干赤くなっている恋人と額を合わせたまま、くすりと微笑み合う。





「ふふ…離れていても、考えている事は同じだったのですね」

「だな。…怪我してねぇか、風邪引いてねぇかとか、今、何をしてるのかとか、…俺の事、考えてるか、とかな」

「…はい」





額をくっつけ合ってくすくすと幸せそうに笑う。

すぐ近くにある愛しい人の顔を見て、名残惜しいとは思いつつも、ずっと抱き合っていた身体を離した。





「…漸く、春が来たのですね」

「Ah?」





じ、と見つめ合っていた状態からぽつり、と言葉を洩らせば、何を言っているんだと不思議そうに目を瞬く恋人。





「某は…陽射しが暖かくなり、雪が解け、花が咲き、鳥が囀り、世間に春が来たと言われても…矢張り、其れだけでは物足りないのです」

「物足りねぇ?」

「はい。何故なら某にとって春の訪れを報せてくれるのは、陽射しでも、雪解けでも、花でも、鳥でもない」

「…?何か他にあんのか?」





心底不思議そうに目を細める恋人。

にこり、と笑って、ゆっくりと口を開く。

其れをとても真面目な顔で見つめて来る恋人。





「…やっぱり止めたでござる」

「Ha!?気になるだろうが!」

「ふふ…秘密、でござるよ」





不機嫌そうに顔を近付けてくる恋人に、己の唇に右の人指し指を当て、にこりと笑って誤魔化した。

いくら人前で口付けを交わして居たって、此の言葉を恋人に伝えるのは少し気恥ずかしかった。





「さ、政宗殿!行くでござる!」

「幸村」

「はい?」

「後で絶対吐かせてやるから、覚悟しとけよ。You see?」

「某だって、絶対に吐きませぬ!」





挑発的に笑んだ恋人に高らかに宣戦布告をし、そしてくすくすと恋人と笑い合いながら手を繋いで歩き出す。

春が来たのだな、と再認識しながら。

























一度冬になってしまえば、貴方に会えるのは春が訪れてから。

例え春が来たって、貴方に逢えなければ意味は無い。

貴方に逢えないのならば、己にとって其れは冬とあまり変わらないから。

貴方の眼が、声が、感触が。


























貴方の温かな体温が、何よりの春の証拠。































何より貴方が





*あとがき*

リア友な玖樹様へ捧げます(∩∇`)

今回は二次元だからこそやれる感じの事を幸村にやっていただきました(謝れ

何時の時代の痛い女子w

何より恋人な筈の政宗さんがあんまり目立ってません。いちゃついてませんw←

何だか強気な幸になりますた(´ω`)

こんなんで宜しければどうぞっていうw←

言ってくれりゃあ出来るだけ手直しします、はい←

そんでかなり遅れてさーせんww←

2周年おめでとさんです(^ω^)

こんな出来損ないをさーせん!\(^O^)/ww

これからも応援してます頑張って下さい!(`・ω・´)ww←

2010.5.2 白黒

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あきゅろす。
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