おつかい勇者♪ 結果オーライですよね。 虚ろな瞳の少年は胸元で両手を構え、何かを呟き始めた。 「*‡∵@ゞ〇」 次第に虚ろな瞳の少年の構えた両手の中心に青色の炎が現われた。 「青色の炎……、闇払いの炎だわ」 「闇払い?」 「そう闇払い。 神様から授かったと言われる特殊な力の一つよ。 ……そっか! それなら」 ラミルは何かを思い付いた様で大きな声をあげた。 「さぁ、やれ! あいつらを、この町を、全てを焼き払え!」 虚ろな瞳の少年の創りあげた炎は徐々に大きくなって行く。 「何? ラミル、何か思い付いたの?」 リオスは構えたまま、ラミルを横目でチラリと見た。 「うん。 あいつが気が付かない間にやるしかないわ。 リオス、あの青色の炎を受け止めて」 「!? あれを受けるの!?」 「大丈夫。 私を信じて」 「わ、分った」 リオスはラミルの真剣その物の瞳を見てコクリと頷いた。 「さぁ、来るわよ」 「〃♯±∴ー!」 不思議言語を声に出したかと思うと、虚ろな瞳の少年から青色の炎が渦を巻いて放たれた。 「今よ。 リオス」 「う、うん!」 リオスの眼前は青色で支配された。 さぁ、受け止めてリオス。その青色の炎は闇の物、即ち魔物にしか効力を発揮しない特殊な炎よ。それを受け止めてそのまま、あの魔物に体当たりすればあいつは見る目に焼かれて行くわ。さぁ、受け止めて! 相手に聞かれては作戦がパーなので、ラミルはそう、願った。 「おぉぉぉぉ!!」 リオスは自分に気合いを入れる様に雄叫びを上げた。 「とぉぉう!」 「……とぉぉう?」 「ち、避けやがった」 リオスは見事に避けていた。そんなリオスをラミルは呆然として見つめる。 「な、な、何避けてんのよぉぉ! ってか、あれを何で躱せる訳?! 雄叫び上げてる時点で1ミリも距離無かったじゃない? あんたどんな反射神経してるのよぉ」 リオスの胸蔵を掴んでラミルは声をゴロつかせてそう叫び立てた。 「うーん。 避けちゃった」 この瞬間、リオスに【紙一重】の称号が密かに作者から与えられた。ジャッジャジャーン♪ 「避けちゃったじゃないわよ。 さ、もっかい来るわよ」 しかし、【紙一重】の称号を与えられたリオスは次々に炎を紙一重で躱して行った。その度に叫んでいたラミルだが、呆れ返って来たのか叫びはため息へと変わって行った。が、そのリオスの動きは決して無駄では無かった。躱しまくるリオスに腹を立てた魔物が判断を誤り始めた。 「えぇい! もう、あいつが躱しても逃げられなくなる程の馬鹿でかい炎を作るんだ。 さぁ、やれ!」 [次へ#] [戻る] |