おつかい勇者♪
其の四
「何、ここまで長かったってどういう事よ。 あんた何かしたの?!」
あいつがここまで来るのに本当に時間が掛かっているのであれば、この話しに乗ってくるはず。でも、もし、乗ってこなければ……。
ラミルは最悪を予感しながらも一か八かモンスターに話しかけた。
「あ、まぁ良いだろ。 教えてやる。 冥土の土産って奴だ」
広げていた漆黒の翼をモンスターは縦にして畳み、腕を組んだ。
「この子の親父、モンスターの負気に当たられたって言ったろ。 それを放ったのは何を隠そうこの俺だ」
「な!?」
ラミルは真実に驚きの声を隠せなかった。
しかし、負気はモンスターから自然に発生される物でモンスターも自分の意思でその力をコントロールする事は出来ないはず。
「驚いているな。 それが俺の能力「邪気の感染」だ。 それもこれもこいつを手に入れるために放ったもの」
黒光りのモンスターはラミルの驚きの顔に悦に酔い痴れる様に頬を引き上げ、言葉を続ける。
「こいつにはな、でかい魔力と一緒にでかい神のいらねぇ加護が付き纏っていたからな。 これを消すために周りを腐蝕させたのさ。 加護を腐らせるのに時間は掛かったが、弱った心に付け込むのは簡単だったな」
「本当にモンスターは下劣ね」
怒りに歯をきしませながら、ラミルはモンスターに唾を掛けたい思いで言葉を放つ。
「よし、それじゃあ手始めだ。 おい、あの坊主をその魔力で焼き殺してしまえ」
「リオス!!」
ラミルに名前を呼ばれてもリオスは動かない。それでもモンスターを睨んでいた。
このままじゃ、リオスが殺されてしまう!でも、今まで考えてあたしに出来る事って……。あたしが光り輝く剣になってリオスに使ってもらう事だけ。でも、そんな事してしまったら勇者の契約者を変える事になってしまう。それは、この子に過酷な運命をもたらし、今の勇者を見捨てる事になる。でも、でも、このままじゃ、リオスは?!……あたしはどうすればいいの!?
ラミルは苦汁の決断に小さな頭を抱え、身体を震わせた。
「やれ! 魔に落ちた神の加護を受けた子よ!」
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