おつかい勇者♪
其の三
黒光りの体をした漆黒の翼を持つモンスターが引き裂いた村長らしき人の身体は床に着くと同時に灰となって風に掻き消された。
黒光りのモンスターはその灰をギラついた瞳を細め、感慨深く眺める。
「ここまでになるのも長かったんだぜ」
言うと黒光りのモンスターは虚ろな瞳の少年の方を振り向き、鋭く長い爪を携えた手でその少年の頭を乱暴に撫で回した。
「何故、人は人を殺してはいけないの…何故、人は……」
虚ろな瞳の少年はその言葉を始終繰り返す。
そんな少年を見つめ、満足気にモンスターは笑い、そのままの姿勢でリオスとラミル、2人に黒光りの眼を見開いた。
「へへ、坊主。 俺が恐ろしくて身動き一つ取れないようだな。 ウヒャヒャヒャ!」
下品な笑い声をあげ、モンスターはリオスを見つめた。
どうするの?あたし。このままじゃ、みんなあいつに殺られてしまう。リオスに勇気があるのはあたしの目から見て確か。あいつは怖がって動けないって言ってるけど、本当に怖かったら泣いて逃げだすか、腰を抜かしてその場にへたりこんでしまうか、少なくともその相手を睨む事は決して無い。でも、勇気だけでは武器も実戦経験も無いリオスにあいつを倒す事は出来ない。ここはひとまず、時間を稼いで対策を練るか。
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