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おつかい勇者♪
過酷な旅


 通された部屋は西日の良く入る日当たりの良い場所だった。ベッドは二つあり、タンスや本棚、簡単な調理も出来る水回りも設置されている。初めて宿屋に泊まるリオスは何かにつけて凄いと言ってはしゃいでいた。

「水回りとかはね、長期滞在する旅人向けに用意されているみたいよ」

「そうなんだ」

 ベッドのスプリングで跳ねて遊んでいるリオスは笑いながら返事をした。

 そんなリオスの様子を見てラミルは罪悪感を感じる。

 そう、この子はまだ、無邪気に遊んでいたい年頃の子供なんだ、と。

 そう思うと何故だか今後の旅についての説明をするのは心苦しかった。これからが本番であり、更に厳しい戦闘をしなければ行けない事は目に見えている。明日生きている保証等、どこにも無いのだ。

「ラミル、どうしたの?」

 不意にリオスが話しかけて来る。

「え、何が?」

「凄く、何か考えてる顔してた」

 リオスは何に関しても鋭い。ラミルは今までのリオスの洞察力から単純にそう思ったが、今後の危険を考えるとその分だけ深刻そうな顔になるのは当たり前と言えるかもしれない。ただ、ラミルにとってのリオスの言葉は思いもかけない物が多かった。

 やはり、リオスには洞察力がある。

 そう思い始めているラミルはリオスの意表を衝いた言葉を聞く度、いよいよリオスへの洞察力に揺らぎ無い物を感じるのだった。

 この子なら大丈夫かもしれない。そう思い直したラミルは今後の過酷な旅について話す覚悟を決めた。



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