おつかい勇者♪
初めてのお金。
今だ現状を把握出来ていないであろうという意味で虚ろな瞳になっている少年を連れてリオスとラミルはマイペースで、宿屋へと向かった。
戦闘での疲れを癒すために。そして、虚ろな瞳の少年を説得してこのまま旅に同行させるために。
「へい、らっしゃい。お一人様、10ドルだよ」
簡素だが、決しておんぼろではないレンガ作りの宿屋の店主は愛想良く挨拶した。
「あら、随分、安いのね。魔王の住むすぐ近くの街はここの50倍はしたわ」
ラミルは破格の宿賃に驚き、首を傾げる。
「あそこは魔王の近くって事もあって旅人があまり来ないせいもあるから、そのくらいとらなきゃ商売にならないんだろ」
「そういうものなのかしら」
「別に嬢ちゃんが50倍出したかったら出してもいいんだぞ」
「あ、いや、10ドルで良いです」
慌てふためくラミルを見て店主は笑顔を浮かべた。
「リオス、お金払って」
「う、うん」
リオスは店主に3人分の宿賃を慣れない手つきで差し出した。
「じゃ、こちらにどうぞ」
髪を一つ結びにした活発な感じのする女性店員がリオス達の前を歩き、部屋へと案内した。
「リオス、お金あんまり使った事無いのね。もたもたしてたもん」
「うん。おじいちゃんと暮らしていた時はおじいちゃんがお金の管理してたから。初めてでドキドキしちゃった」
テヘっとリオスは舌をペッと出しながらハニカンだ。
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