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おつかい勇者♪
妖精ってじっとしてられないのよ。


 自信満々な妖精ラミル。

 神に近い存在である精霊や妖精にだけ許される神の領域への干渉。そんな事が出来る何て自信満々になっても致し方ない。
 想像を絶する凄い出来事がこれから起こるんだ。
 リオスは胸の高鳴りを押さえられずにいた。

「全知全能なる神よ。 神の力を妖精、ラミルにお与え下さい」

 ラミルがそう神に祈ると、ラミルの小さな身体に瞬く、天から光が注がれた。

「ゴクンッ」

 唾を飲み込み、喉を鳴らしたリオスは一秒足りとも逃すまいとまばたきせず、その光景をじっと見つめ続けた。

 これが神様の力。決して僕何かには近付く事の出来ない力。魔王をやっつける事の出来る力。 

 天から注がれた光はゆっくりと薄れていき、やがて消えていったかと思ったその瞬間だった。ラミルから目がくらむ程の眩い光がリオスの見渡す全景色に向かって放たれた。

「眩しすぎる……」

 何とか頑張ってその光景を見てやろうとしたリオスだったが、そのあまりの眩しさに目を閉じざるを得なかった。

 壮絶な光が治まったのを感じて、リオスはゆっくりと目を見開いた。

 と、そこには妖精の身体とは到底、釣り合いが取れないだろう巨大なピコピコハンマーを持ったラミルの姿と頭に大きなタンコブを作った虚ろな瞳の少年の立っている姿があった。

「これはどういう……」

「気絶しているんなら起こせばいいのよ。 こんな事が出来るのは私達か精霊だけだけれどもね。 さ、さっさと宿屋に行きましょう」

 ラミルが先を促す傍ら、まだ何が起こっているのか理解出来ない虚ろな瞳の少年は片手を頭にあてながら当たりを見回した。

「僕はいったい」

「はい、話は後々。 リオス、肩貸してあげて」

「う、うん」

 いやぁ、まさに突っ込み所の宝石箱や〜と、お手上げしつつ鋭い洞察力を持ったリオスは立ち止まり天に向かって呟いた。

「妖精の、ラミルの役どころを理解してますね神様……」

「リオス、早く行くわよ」

「はーい」

 天は「まぁ、神の加護をもらった人達にはいい迷惑だけど、許してね」とでも言わん許りに台地を照らしていた。



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あきゅろす。
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