ぷれ☆★いす
其の四
秋田先生とは、この2年A組の担任の先生である。字がとても汚いのが特徴の秋田先生。
「で、お前が良かったじゃんって言ったのは?」
鞄から教科書等を出して机にしまいながら大介は言った。
「いや、ばれてないなら遅刻にはならないから、ラッキーだったなと思ってさ」
軽く話す一三郎に大介は溜め息を付いた。
「そうも行かないだろ。俺が遅刻した事は後で自分から話すよ。 このまま居ても気持ち悪いし」
さらに溜め息を着く大介。
「いや〜、相変わらず堅いなぁ」
「それに俺、学級委員だし」
溜め息まじりに話す大介を見て納得する一三郎。
「お前がズルすれば、他に示しもつかないしな」
「そういう事」
鞄を机の横に立て掛けて授業の準備を整えた大介は、両手を上にして「う〜ん」と、伸びをした。
「で、秋田先生がどうしたのか聞きに言った奴はいるのか?」
「いや、んな奴いないって。 それにそういうのって、なぁ」
語尾を上げ、何か言いたそうな口調の一三郎。顔の表情も気持ち大介に何かを訴えかけている様を感じさせる。
そんな口調や表情を見て、大介は悟る。
「学級委員の仕事だって言いたいんだろ」
それを聞いて満面の笑顔を一三郎は浮かべる。
「そういう事」
「まぁ、頑張って行って来いよ」
と、一三郎に「ポン」と肩を軽く叩かれて大介は教室を後にした。向かった先は一階にある先生達の集まる職員室。担任の秋田先生の来ない理由を確認するために向かったのである。
遅刻をした事は担任に言えば良い事であるし、職員室へは担任不在の理由を聞きに行くという立派な理由がある。決して悪い事をして向かっている訳では無いのだが、やはり職員室へ行くのは気が重い。たくさんの先生が居るあの特殊な空間を大抵の生徒が苦手とする様に大介も苦手としていたのだ。
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