ぷれ☆★いす
其の五
再び、所変わってこちらは烈子と良子。二人はトキシラズの元へ辿り着いていた。
「さて、切り始めようかしらね」
良子は腕まくりして肩を回した。
しかし、私の残された力でこれを切る事が出来るかしら。
実物を見て少し、自信を無くす良子。
そんな気持ちが伝わったのか、烈子は心配そうな顔で良子を見つめた。良子は烈子の視線に気が付き、どんと来い!と言わんばかりに胸を張る。
「大丈夫よ。 れっちゃん。 よっちゃんに任せなさい」
そんな良子を見て烈子は気持ちの和らぐのを感じた。
「あ、良子さん。 もし、良かったらあそこの師匠も呪縛から解放してあげて欲しいんだけど」
「みっちゃんね。 分かったわ」
良子はみっちゃんこと、光の長へと近付いて行く。
光の長はトキシラズを眺めたままで体の動きを止めていた。
良子は光の長の背中に触れ、時を進める。
光の長の身体全体がブルブルと震えたかと思うと目をパチクリさせた。
「わしはいったい……、ん?良子か、それに烈子。 こんな所で何しているのじゃ」
全く状況を掴めていない光の長に烈子と良子はここまでの経緯を説明した。
「ん〜、そうか。 とうとう時が止まったのか」
「えぇ、だから私もここまで来たのよ」
良子は力を出したり戻したりして軽い柔軟をしながらそう話した。
「ふむ、そうか。 やはり、あの時切っておくべきだったのかもしれんな。 闇の長に会えば、全てが解決する様な事を言っていたんじゃが」
もし、あの時大介がトキシラズを切っていたら時が止まる事もなかった。
それは美耶の心を無視した非人道的行いだったかもしれない。だが、今の様な最悪の事態には陥らなかった。
トキシラズが時間を止められる魔力を持つ。それはトキシラズが最終形態になった事を示していた。トキシラズの最終形態は今まで以上に茎が堅くなり、生半可な力で切る事は叶わなくなる。それに切ろうとする外敵を駆除する防御システムまで組み込まれる。
そのやっかいなトキシラズを元明日使いの良子に切る事が出来るのだろうか。
出来なくてもやらなければ行けない事なのだが、光の長にはかなり難しい事に思えた。
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